第20話 物語の区切りⅠ

「くそっ!!!」


 酒場リヴァイアサン近く、疾風はぼろぼろになりながら生き残った。

 終始劣勢だったが彼女だが、しばらくしたら解放された。


「あら、もう止めなくていいみたいです、それでは。」


 そう言われて唐突に終わった。

 解放されてもしばらく動けなかった彼女は実力差を痛感した。


「もっと強くならなきゃ。」


 この疾風の名に恥じないように。

 そう誓った。



 ―――


「あちゃあ!ダメだったかぁ、惜しかったなぁ。」


 とある暗い一部屋、残念そうな男の声が響く。

 傍には雪達を映す水晶玉が置かれていた。


「使い捨てるには惜しい駒だったけど、残りの時間があまりにも少なかったからなぁ。まぁもっといいもの見つけちゃったしこれからでしょ。でも数分あれば十分だと思ったんだけど、なかなか粘ったね。」


 ぶつぶつ呟きながら、ベッドへと移動する。


「種も多くないし、使い方も気を付けないとなぁ。バレたら大事だしね。まぁ今回はバレないでしょ。」


 そういって男は嬉しそうにベッドへ身を投げ出す。


「運も実力のうちってね、次はどうしようかな。どーせなら楽しく・・・。」



 一層、闇は深くなる。



 ―――


「雪!!」


 ノエルが急いで駆け寄ってくる。


「大丈夫!?腕!凄い傷・・・ギルドの人呼ぼ!あとあと、ええと。」


「大丈夫、」


「大丈夫じゃないよ!?急いで治療しないと・・・家から魔法道具持ってくるね」


 大丈夫これくらいと言おうとして、怒涛の心配ラッシュに思わず苦笑いしてしまう。

 そうしてノエルはさっさと家に引っ込む。


「何とか、生き残ったな。」


 久しぶりにバタバタした数日を送った雪は、起こった色々な出来事を静かに噛み締めた。

 その後慌てて戻ってきたノエルの治療を受けた。

 日の昇る頃には、ギルドから複数名と♧7『治癒』が傷を治しにきてくれた。


 それから数日経過した。


「おはよう、雪。」


「おはよ、ノエル。」


「朝ごはん出来たよ、それと腕はもう大丈夫なの?」


 心配そうに腕を見るノエルに笑って答える。


「大丈夫だよ、ほら傷ももうないし。」


 腕を振って答える。

 そうしていつもの日常が始まる。


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