大事な物はとにかく何でもしまいこむ
仲仁へび(旧:離久)
第1話
手に入れたものはとにかく何でもしまいこむ。
元から持っているものも、とにかくどれでもしまいこむ。
だって。
ほうっておくと。
ちゃんと管理しないと。
外に出しておくと。
すぐ人にとられちゃうから。
名前をつけて。
マーカーで書いて。
シールを貼って。
自分の物です、と主張して。
それで、箱にしまって。
やっと安心できる。
大事で大切な、私の宝物たち。
人になんて渡したくない。
せみのぬけがら。
綺麗なビー玉。
布のおてだま。
いろいろしまいこんでみた。
そうしたら、心がかるくて。
心配でなくなったけけれど。
他の物もとられないか、気になった。
教科書。
ランドセル。
お気に入りの服と靴。
プレゼントの玩具。
どんどんしまいこんだ。
そしたらどんどん安心してきた。
もっと。
もっと安心したい。
だから、箱にしまい込むものを増やす事にした。
大切なお小遣い。
学校の連絡帳。
アルバム。お手紙。
他にも色々。
そうしてしまいこむようになって、何十年も経ったある日。
「もう君とは一緒にいられない。別れよう」
大切なものがなくなりそうだったから、それもしまいこむことにした。
「たのむ、外に出してくれ」
それは物じゃないけど、失わないためだから、しょうがない。
あなたが、諦めて。
大事な物はとにかく何でもしまいこむ 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます