『ジラといっしょ』 ~『ジラ❗ 番外編』

やましん(テンパー)

第1話 『通院』 その1


 ジラがやってきて、2年が過ぎた。


 いまでも、レジスタンス活動はあるらしいが、なにしろ、社会不正や戦争といふものが、いっさいがっさいなくなったのだ。



 レジスタンスの中心は、『ふみたい』という、『アンチ・ジラ』らしい。これは、ジラの用語である。

 どういう、ひとなのか、ひとではないのか、さえ、良くは、わからない。情報がないからだ。



 それでも、言論は自由である。


 ま、ぼくみたいな末端には、文句を言う筋合いがあるのかどうか、いささか疑問だが、それでも、判らないことは、社会には、常に、あるものなのだ。


      ♿🏥


 ある日、いつものように、病院に行った。


 看護師さんやドクターといった人間は、まるでいない。


 彼らがどこに行ったのか、まるでわからない。


 病院の全てが、セルフサービスで、自動化されている。


 なお、ジラ語は、いまだに、いささか変わっているが、直す気はないらしい。


 まず、受付。


 びび〰️〰️


 『いらっしゃいます。ナイマンナーカードを入れてくらさい。』


 じじ〰️〰️〰️😃


 『受付しました。受付カード取って、検査しつ、前でおまちくらさい。』


 ぼくは、静かな検査室の待ち合いに入った。


 何人か待っている人はいた。


 しかし、回転は早い。


 『ふ、の七番さん。』


 と、表示が空間に踊った。


 検査室に入る。だれもいない。


 『はい。お名前、年齢、生年月日、いってくらさい。』


 中空から声がした。


 『やましん。70さい。まるまるまる。』


 『はい。では、手を検査だいにのせてくらさい。……びび。おわりました。診察室11にどうぞ。』


 針も刺さないし、血もでない。


 診察室11のまえで、2分ほど待つと、すぐに、番号が踊った。


 診察室に入る。誰もいない。


 しかし、誰かがしゃべるのである。


 『あ、やましんさん、がんの可能性が高いね。精密検診&治療コースなら、保険治療なら50万どりむ。保険外治療なら1000万どりむ。でし。保険外治療ならば、あらゆる病気が完治しまし。。10年保証付きれす。保険治療ならば、25%の確率で、み治療領域が残る可能性、ありんす。五年以内致死率25%れす。ど、しますか。』

 

 『ど、しますか? て、お金ないですよ。』


 『わかりました。では、治療室『やまなみ』に、どぞ。治療前に、カウンセリングします。なお、だから、このあと、治療コースを変更することは、まだ、できまする。さらに、即決お仕事の紹介、もあります。慎重にご判断が可能れす。』


 

     ⛰️⛰️⛰️⛰️⛰️

 

 

 

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