デリへル頼んだら友達の母親来たんだけど……
クズテツ
第1話 とんでもねえや
「サトルさ、童貞を卒業しないと殺すぞ……」
現在の彼女であるナスミにそう告げられる。
「わたし、あんたが童貞だとわかってたら付き合ってなかったわ。マジでどっかで童貞捨ててきて」
「いやいや、俺が別の女とヤッてもいいのかよ!?」
「別に……とにかく三日以内に童貞卒業しないと関係を終わりにするから」
――デートの帰り道。
ナスミと付き合って二年。いよいよ童貞卒業の機会かと思いきや、こんなことになるなんて。色々考えて自宅に帰る。
「ただいま」
「おかえり、兄貴どうしたの?」
俺の弟アキラが居た。アキラは昨年なんやかんやあってサキュバスの女と結婚した。
「いやぁ、かくかくしかじかで」
「マジで!あんなにラブラブだったのに……うーん、どうしたもんかね」
二人で悩んでる間に、アキラの嫁、ユメコが帰ってきた。
「おやおや、どうしたのサトル君。そんなシケた面してさ」
「実は――でさ」
アキラは事情をユメコに説明する。
「ははーん。そんなことか。なんならさ、知り合いがデリヘルの店やってんだけど、サトル君にうってつけの」
ユメコは俺にスマホの広告を見せる。
――格安!!!最強のベテラン揃い多し!!!テクに悶絶必至!!!お値段はなんとタダ!!!それどころか支給します!!!
「なんじゃこれ、童貞卒業できるどころか、逆に俺に金くれるのかよ」
「マジマジ!!!お得でしょ」
「早速予約じゃッ!誰にしようか悩むな……」
一時間程悩んだあと、俺はジュンコという女にした
デリヘル当日。
チャイムが鳴る。いよいよだ。童貞卒業。あと一体どんな顔の女が来るのか楽しみで胸の鼓動が止まらない。
「はい、いま出ます」
「ご指名ありがとうね、サトルちゃん」
「……?」
妙に馴れ馴れしいというか慣れているというかどこかで聞いたような声。
女は着用していたマスクを取った。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!もしかしてじゃが坊ママ!?」
――じゃが坊とは……。俺の幼馴染の男友達。ついこないだも奴の家にお邪魔したばかりだ。
「そうよ、もうそんなわざとらしい態度しちゃって。わかってて指名してくれたんでしょ」
“いや、そんなわけない”とは言えない。女を傷つけるなとは親父によく言われた。
「も、もちろん」
その後、メチャクチャセックスした。
数日後。
電話が鳴ってる。知らない番号からだ。
「はい」
「妊娠した……」
「その声はじゃが坊ママ?」
「うん、これからはパパだね」
「はぇ~……」
「名前はどうしようか?」
今みかん食ってるからミカンでいいか。俺もついに一児のパパか……。
また数日後。
――学校。
「えー……今日は転校生を紹介します。サトル君の息子であるミカン君が本日から我がクラスの一員になります」
パチパチパチ。鳴り渡る教室内の拍手。
どういうことか事情が分からなかった。だって昨日産まれたばかりなのに……。もう立派な体つきをしている我が子が前にいる。
他クラスのナスミが鬼の形相で休み時間に俺の机の前まで来る。
「サトル、てめぇふざけんじゃねえよ!!!童貞は捨てていいって言ったけど……何!?隠し子!?私と結婚するんじゃねえのかよ!!!おらぁ!!!」
「……」
何も言い返せなかった。
――保健室
「ぅうぅう……」
息子転入イベントの後にどうやら俺はナスミに殴られ気絶していたらしい。
「父さん、大丈夫ですか?」
ミカンが側にいる。手を握ってくれいている。なんていい子なんだ。
「おお。てか成長早くね。昨日産まれたばかりじゃないの!?」
「その点はどうでもよくてさ。でさ……突然だけど、俺は異世界からの転生者なんだ」
デリへル頼んだら友達の母親来たんだけど…… クズテツ @kuzutetsu
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