魚庭は今日も花盛り
もみじあおい
第1話 プロローグ
どうして! どうして会えないんだ!!
どうして!!
最低でも2週間に一度は話しかけることができていたのに!!
本当は毎日声が聞きたい。
だけど、あの子は嫌そうな顔をするから。
だから、話すのは2週間に一度の楽しみにとっておいて、天王寺駅で遠くから一目見かけるだけでよかったのに。
それなのに!!
5月のゴールデンウイークを過ぎたあたりからあの子を見かけなくなった。
もしかして病気で休んでいるのだろうか。
会いたい気持ちを抑え、胸が張り裂けそうになりながら、俺は彼女が現れるのを待った。
だけど、1週間たっても、あの子は現れなかった。
もしかして、時間割が変わったのだろうか。
……いや、それは考えづらい。
もしかして、2年生になったから学校の図書館などで勉強をし始めたのだろうか。
4月に話しかけたとき、難関国公立を目指す特進科に進んだと教えてもらった。
会えなくなった可能性としては高い。
それから1週間、駅の改札が見えるカフェで夜の8時半まで粘って待っていたが、それでも彼女は現れなかった。
もしかして、引っ越したのだろうか。
俺は彼女の連絡先を知らない。何度聞いても教えてもらえなかった。
もし引っ越したのなら、もう天王寺駅を利用しない?
もう会えないのか……。
それは嫌だ!!
どこの高校か分かっている。
本当は学校まで会いに行きたい。
でも、俺はストーカーなんかじゃない。
変質者を見るような目で見られたら、間違いなく死ねる。
向こうは偶然、こっちは必然の状況で会いたいんだ。
彼女と最後に話したのは、ゴールデンウィーク前。彼女を最後に見かけたのは、ゴールデンウィーク明けの週。
もう2か月以上彼女を見ていない。
会いたくて会いたくて、おかしくなりそうだ。
一目だけでいい。いや、一言挨拶を交わすだけでも構わない。
礼ちゃんに会いたい……。
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