誰かに支えられている青い空
神永 遙麦
第1話
このどこまでも深く見える青い空。
この空は誰かに支えられている。私たちが選んだ強い人たちによって。
空を支える仕事は命懸けらしい。
力が強ければ強いほどより上のゾーンに行けるから。
上のゾーンは楽な仕事だと思われている。だって下でたくさんの人が引っ張っているのに、少し加勢しているだけのように見えるから。
だから、時には蹴落とし合いが始まる。そんな中でも糸から手を離してはいけない。だって安全なはずな上のゾーンが攻撃に遭うってことは、下のゾーンにはもう甚大な被害が起きているだろうから。
上のゾーンは最後の命綱のようなもの。下の人たちが空を高みに上げる糸を離してしまっても、上の人がいれば、力が強い上の人たちがいれば……。
ある日、青いはずの空が赤く染まった。火のような色になったと思うと、ヒビ割れた。そしてあっという間に、瞬きする間もなく、空が瓦礫のように落ちて来た。
逃げ場がなく私は咄嗟に頭を守った。ゴォォォと落下してきた、空だったものは私の家を潰した。破片が箪笥だったものの破片が腕に刺さっていたが、なぜか生きている。いい具合に重なった瓦礫で守られたようだ。
どうにか瓦礫を這い出ると、壁だったものにはさっきまでお母さんだった肉片がこびりついていた。近くにあったピンクの布切れで分かった。
心がヒュッてなって、お父さんを探した。どこだろう? 喉がガサガサだった。
さっきの空は、1分前までは美しかった空は、私の住んでいた町をぺちゃんこにしていた。どっかで赤ちゃんが泣いている、そのお母さんらしい死体がある。
また空が落ちて来た。ここに落ちてくる。
*
青年は、上のゾーンの青年は肩でぜいぜいと息をしていた。
下のゾーンがやられたのを見た時、僕は「死にたくない」と感じた。死の覚悟が甘かったようだ。だから攻撃される前に手を離して、降参のポーズを取った。
誰かに支えられている青い空 神永 遙麦 @hosanna_7
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