【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode003 最強美少女とのざまあ作戦パート1
Episode003 最強美少女とのざまあ作戦パート1
「初対面でこういうこと言うのってあんまり良くないとは思うんだけどさ、……俺、キミは笑顔だったら可愛いと思うぞ」
俺がそう言うと、さっきまで悲しそうな表情しか見せていなかったユイナが、急に赤面して
あれ、もしかしてあんまりそういうこと言われるの慣れてない?
勇者パーティーに入る前はどうしていたかとか知らないけど、今まで『可愛い』って言われたことないとかなんだろうか。
「……す、すいません。私、あんまり可愛いって言われたことなくて……」
「いや、コッチも悪かった。急にそういうこと言われたら誰だってビックリするわ」
その会話の後、気まずい無言の空間が完成した。
俺にこういうときに自分から会話を切り出す勇気はない。
でも、何か話さないと話は進まないし……。
「……もし、ですが、私が笑えば、あなたは私を好きになってくれますか?」
「急にどうした? ソレで好きになる好きにならないの話じゃなくて、俺はどうせ誰かを好きになるんなら、元気があってロングヘアーで、何かに一生懸命な……あ」
気まずい空気を破るように発せられたユイナの質問に対して素直に答えていた俺は、今更になって自分が言っている言葉の意味を理解する。
……どの項目も、普段のユイナには十二分に当てはまるじゃないか。
ユイナのことを意識して言ったワケじゃなかったんだが、まあコレが本心だし。
とか思いながらにユイナの方を向くと……。
「……え、っと……。つまりは……わ、私のこと、好きになってくれるんですか?」
「えっ、ちょっと待って。展開が突飛すぎるから一旦落ち着こう」
俺の好みの条件に合っていたからって、そんなに焦ることないのに。
というか、特にユイナなんて俺のことは微塵も知らんだろ。
そのくらいにテルネモが好きだったってことなんだけど、それなら俺は髪を伸ばした方がいいのか?
そうは言ったって、この一件が落ち着いたらどうなるか分からんしなあ……。
あと、しっかり普段のユイナを見てその辺の判断はしたい。
まあ、最初に『笑ったら可愛いんだろう』と思っちゃった時点で手遅れかもだけど。
「さっきのヤツは、別にキミを指して言ったつもりはなかったんだが。ただ、ここまで話に首を突っ込んじゃったんだし、もうこのまま勇者テルネモに復讐するのが手っ取り早いと思うぞ」
「……わ、私をどう思うかはあなた次第ですが……。……あのお方に、復讐……」
「ああ、まあ復讐って言っても、キミとテルネモで戦って、勝った方が負けた方に何か1つ好きなようにできるってことで」
俺とて、勇者がその後で復讐返ししてくるのが怖くないワケがない。
100種類以上の魔法が使えるのってヤバいように聞こえるが、それでもこの世界にある魔法の1%にも満たない数なのである。
そんなので勇者に太刀打ちできるハズがない。
だから、そこでユイナには必ず勝ってもらう予定だ。
勿論、俺の魔法による妨害と強化を前提としてなんだけど。
「俺には『魔力隠蔽』っていう魔法があるんだ。……『敵感知』を獲得してなかったら取得できてなかったけど。それで魔力を隠すから、俺が支援魔法を打ち込む」
「……それで、私にテルネモ様を倒して、何か聞いてもらう、ってことですか?」
「ああ。そうしたら、キミは勇者パーティーに戻ることも、テルネモと一緒にいることも叶えられるだろ?」
「……それもそうですね……。そういうことなら、これからよろしくお願いします」
「あ、ああ。これからって言っても、間違いなく今日の夕方までだと思うけどな」
その言葉に、ユイナはキョトンとする。
俺としては、もう今日中には解決してもらうつもりでいるのだ。
そりゃあ、俺だってこの娘が笑ったらどんな感じかとかをよく観察するくらいの時間は欲しいのだが、そもそもの話をすると、俺とユイナじゃ住んでいる次元が違う。
だったら、早いところ幸せに導いてあげた方が俺としても辛くないだろう。
……少なくとも、俺がユイナを好きになってしまう前に。
*
俺たちは風呂から出る――勿論のことタイミングはずらしたが――と、そのまま宿から出て温泉街からも出た。
俺の考えた作戦の確認をする為である。
俺が復讐もとい2人の復縁を願った作戦をしようと言ったところからユイナの様子が少しおかしい気はするが、そのくらいにテルネモの隣に戻りたいんだろう。
ユイナは、さっきまでの不安を吹き飛ばすように。
「それでは、あなたの作戦を信じていますよ! アヅマさん!」
そう言って、たった数分前の暗い顔には似つかわしくない笑顔を向けてきた。
……アカン、もう好きになってしまうそうだ……。
俺が骨抜きにされてしまう前に、どうにかして作戦を実行しよう。
「ま、まず俺が『魔力隠蔽』を使って戦闘が始まった直後にテルネモの足元直径3m範囲で『泥沼発生』を使うから、そのスキに『身体強化』を全魔力つぎ込んで使う。そうしたら渾身の一撃で決めちゃってくれ。勝利条件は降伏か傷1つでいいだろ」
「分かりました。では、どの技を使うべきか判断してもらっていいですか?」
「ああ、構わないぞ」
俺はそう言うと、ユイナの使う突貫技を次々と見ながら、もうこのままユイナはテルネモと復縁しなければいいのにと、無意識に考えていたのだった。
次回 Episode004 最強美少女とのざまあ作戦パート2
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