Z世代は世界を変える?―異世界で、孤独な異星人と恋をする―

肥前ロンズ

プロローグ

 スーツを着た、ガタイのいい男が、拳銃を構えていた。

 私には銃の知識なんてない。だけど、その銃がいつでも撃てるようになっていることはわかる。

 拳銃を利き手で持って、利き手を包むように反対の手を添えている。足は肩幅までひろげていて、姿勢は前に傾いている。いかにも攻撃的だ。


「やめてくれ! その人は関係ない、ただの一般人だ!」


 後ろでマモルが声をはりあげている。が、男には届いていない。

 雨が降っている。

 薄く水を張った石畳の上に、沢山の波紋を立てながら雨が真っ直ぐ落ちていく。

 ――大丈夫。サーヤの作戦は、絶対に上手くいく。

 針のように突き刺してくる細い雨。視界が白くもやがかかったように見える状態で、私は覚悟を決めていた。



 大根を持ったまま。

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