おっぱい揉ませてわかばさん

うさみかずと

おっぱいがいっぱい

隣のおっぱいはでかく見える

「今日も一日お勤めご苦労だったねぇ、お風呂を入れる? ごはんをつくる? それともぉお・っ・ぱ・い?」


 当たり前のように僕の大きめのパーカーを着たわかばさんがにこにこととんでもないことを言う。


「こんな時間までお仕事大変だったねぇ、私にビーフストロガノフを食べる姿を見て癒されたもれぇ」


「いや、つくりませんよ、今からそんなクソめんどくさい料理」


「えぇ」


「何がえぇだ、こっちがびっくりだわ」


 僕がつっこんでもほんわか笑顔を絶やさない。


「じゃあ夕飯はなんだい?」


「……麻婆豆腐」


「中華かぁ……まぁいいだろう」


「いや、なんですかその間は、わかばさんに拒否権ないですよ。ちゃっちゃとつくるんで大人しく待っててください」


「そうかい、でもやっぱり悪いからねぇ、たまには私も」


「手伝ってくれるんですか?」


「近くで応援しているよ」


 そう言ってパーカーを脱ぎ捨てたわかばさんはあっという間にチアリーダーになっていた。


「どうだいテンション上がっただろ、きみへそちらとか興奮するタイプだろう」


 お尻を突き出し、胸を突き出すセクシーポーズで僕に見せつける。勘違いしないでほしいのはあくまでも男の本能としてわかばさんの恰好は魅力的なだけで、別に興奮なんてしてない。それよりも気になるのは、


「そんな服持ってましたっけ?」


「いいや、回楽天市場で昨日ぽちったんだ、いやぁこの国の物流は優秀だよねぇ今日の昼間には届いたよ」


「いくらしました?」


「三千九〇円プラス税」


 大きなため息。その料金は僕の貯金から引き落とされるのだ。


「せめてドンキーで買ってくださいよ」


 嘆きの言葉をため息にのせて吐き出す。目の保養にしても給料日前にこの出費は痛すぎる。


「いやだよぉ、外は危険がいっぱいなんだ」


「僕はその危険な外から帰ってきたんですが」


「だから言ってるだろう」


 わかばさんは両手で僕の右手を掴んで自分の右胸にあてる。


「今日も一日お疲れ様」


 わかばさんは小さくつぶやいた。僕は突然のことで、頬を赤くすることも声を出すこともできず口を半開きにすることしかできなかった。


 いやちがう。条件反射で右手の指先が胸をしっかり包み込むように動く。


 その瞬間、わかばさんは勝ち誇ったように微笑み、僕は身体の反応を待たずして顔を曇らせる。


「じゃあ、私のお勤めも終わり、芳くん手早く夕飯をつくってくれたまえよ」


「えぇちょっと応援は?」


「もう飽きた」


 残酷な言葉だけを残してわかばさんはテレビのあるリビングに直行する。


「わかばさん、せめて三千九〇円プラス税分は頑張ってくださいよ」


 僕の悲痛の叫びは報われない。かわりにリビングから聞こえてきたのは、つい五分ほど前に女の子が空から落ちてきた少年が吹く『ハトと少年』だった。





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