第96話 ヘルキャット
傭兵団を幾つか検索した時、とりあえず名前で雇おうと思ったのが1つあったので連絡を取ってみる。検索である程度候補を絞ったら、あとは名前で決めるよね。
「ヒノマルサイクツのアキラと申します。現在未契約の傭兵団ということで護衛任務をお願いしたいのですが対応可能でしょうか?」
『傭兵団ヘルキャットの団長ヘルマーです。対応可能ですご利用いただきありがとうございます。希望戦力の規模と期間は何か月かの提示をお願いします』
「希望戦力はヘルキャットの持つ保有戦力全て。期間は3ヵ月希望です」
『……全戦力となると、3ヵ月で6000万クレジットとなりますが前金で払えますか?』
「一月毎に2000万クレジットの支払いで構いませんか?」
『それは問題ありません』
何というか、名前で選んだんだけど名前のわりには物腰柔らかそうな感じのする団長さんだ。ちなみに保有戦力は戦艦1、巡洋艦3、駆逐艦11とそこそこ大きい規模で、大型艦船での戦闘力ならヒノマルサイクツの半分ぐらいはあるかな。戦闘機乗りは100人ぐらいと少な目。団員はほぼ全員が人間だけど、ちらほら獣人やテラニド人もいる。
「エレーザ星系に到着するのは何時頃になるでしょうか?」
『エレーザ星系ですか。エマーレ星系から飛ばして丸一日となると、最短で7月11日からのご利用になりますね』
「では全艦隊移動2日分で20万クレジットは先に振り込んでおきますね。本契約は会ってからでお願いします」
『ありがとうございます!』
とりあえず2日後になったら会えるようなので、どんな人達かはまだ分からないけどそれなりに知名度もあるみたいでパラディ社との戦争でも活躍した傭兵団の団長らしい。……それが未契約になってるということは、戦争中にラドン連邦に契約を打ち切られたタイプなので足元見れるな。
というか傭兵団の名前がヘルキャットなのはあの人がヘルマーって名前から来てるだろうから、戦車のヘルキャットは関係なさそうだな。単純な地獄+猫でもなさそうだしちょっと残念。たぶん猫好きではあるんだろうけどそれを傭兵団の名前にするのはどうなんだ。
ちなみに傭兵団のHP的なところを見ると結構な人数が猫飼ってるなと分かる程度には猫の姿の方が映ってる。未来の世界でも猫は人気のペットか。面白い奴らだし保有戦力は最新鋭の艦船が多く、非常に火力が高い傭兵団だ。
「……やっぱり自分で取引するのって面倒だな」
「傭兵団との契約ぐらいは自分でやっておいた方が良いわよ。命にかかわることは自分で選定するべきだし、そもそもこんな高額な取引をポンポン他人に任せない。ちゃんと丁寧に対応できるんだし能力が勿体無いわよ」
「いやでも最大で6000万クレジットだろ?要塞作る方が高くないか?」
「6000万クレジットあったら1組の夫婦が一生遊んで暮らせるのよ」
「今一生ってどれぐらいの期間を想定した?」
「……300年ぐらいね」
傭兵団との契約もアリアーナに任せようと思ったら、たまには自分で取引しろとの叱責を受けたので自分で連絡とったけど、まあ自分の背中を預ける奴らぐらいは自分で選ぶべきか。移動費用だけでも20万クレジットは必要だけど、逆に言えばこれさえ払っておけば本契約に至らなくても両者「しょうがなかった」で済む。
……で、一応この規模の艦隊を保有する傭兵団にしては安い理由だけど戦場では味方を盾にひたすら隠れて、遠距離から一方的に射撃しては撤退を繰り返すタイプの傭兵団で戦場では敵味方の双方から蛇蝎の如く嫌われてたらしい。まあ前線張れるタイプの艦船で構成された艦隊じゃないし仕方ないけどイメージがもう戦車のヘルキャットだよ。
「シルフィやイザベラさんは傭兵団のヘルキャットって聞いたことある?
あ、その顔はイザベラさんは知ってそう」
『……とにかく遠距離から戦うので戦場では嫌われていますが力はある傭兵団ですよ』
『傭兵団の中では結構目立ってるです。ただ、良い噂は聞いたことがないです』
通信で現在ベレーザ星系に行ってるシルフィとイザベラさんにも確認を取るけど、評判はイマイチ。まあ最悪自分の指示で戦って貰えるなら良いや。それが聞けないなら追い返すだけだし。
……この傭兵団が到着したら、本格的にベレーザ星系の確保に乗り出す予定。居住可能惑星を確保するためにある程度は地上の要塞を破壊するために戦闘機や大型艦船の数が欲しいところ。
レプリコンの司令塔を確保して、こちらからベレーザ星系にいる人達に電波飛ばすようになれば意のままに人を操れるみたいなので、順次人に戻していく作業が待っている。
……ただ時間は滅茶苦茶かかりそうなんだよなあ。一応学習装置は医療用ポッドを改造して200基ほど用意したけど人口10億人を全て人化させるのに1人10分想定だと単純計算で100年近くかかるぞ。途中からは、現地で学習装置を量産していかないと元に戻す前に寿命が来てしまう。
一応、希望的観測として現地にヘルメット取り付ける機械自体はあるので、それを改良すれば簡単に取り外せる可能性があり、学習装置にもなりそうだとの見解はある。……もしそんなことになるなら非常に都合の良い敵になるんだけど、思惑通り居住可能惑星を確保して大丈夫だろうか。
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