第84話 プラチナ
輸送部隊は1日かけてエマーレ星系に行き、1日かけてエレーザ星系に戻って来るけど、エマーレ星系で夜は泊まるのが基本的な流れ。エマーレ星系に着いたあと、一緒にフィアと食事に行き、その途中で隠れて結婚指輪が今どうなっているのか検索していたらフィアに見つかった。
「そりゃあ稀人は分からないよねえ。
指輪を送る文化自体はまだ残ってる地域もあるけど、基本は腕輪かな?」
「腕輪?
宝石類が思っていた以上に安くなってるから大きくなったのか」
「宝石類ってダイヤやルビーのことだよね?
……その辺を贈るのはあまりないかな」
「……答え見たわ。プラチナの装飾品が基本的な贈り物か」
「そもそも獣人の文化圏だと女性から男性に贈るのが一般的なんだけどね?」
そしてプラチナの装飾が施してある腕輪が一般的と聞いて、とりあえずそれを用意することにする。なんか採掘人だと自分の掘ったプラチナでそういう贈り物作るのが主流らしいよ。……贈り物にも使うから買い取り価格は高かったのか。
たまには自分で掘りたいし、そう言えば大型採掘船を自分で操作はしてなかったから今度操作しておこう。……これ本来はプラチナを掘れる確率が結構低いから採掘人の贈り物として成り立っていたんだろうな。
「じゃあまあ今度腕輪作りに行くか」
「……いや私も人間同士の恋愛漫画とかはあまり読まなかったけどそういうのってサプライズで渡すものじゃない?」
「サプライズで渡してサイズ合わなかったら嫌だしなあ」
「それは大体分からない?と言っても手首掴むことはないかあ」
「えー、押し倒したらまあ、掴むか」
流れでフィアと同じ宿に泊まることはよくあったのだが、流石に夜遅い時間帯に2人きりで同じ部屋にいるということは今まで無かった。……今更ながらなんか緊張して来たわ。ダブルの部屋を取った時点で覚悟は完了していたはずなんだけど。
「女は度胸……今こそこれを!」
この世界のシャワーは汚れを一瞬で落としてくれるのに、やけにフィアのシャワータイムが長いなと思ったら何か変な声が聞こえたけどフィアは今「苦い」って言ったか?薬剤系は大体美味しいこの世界、苦いということは相当アレな薬か何かを飲んだな?
直後、シャワールームから素っ裸で飛び出してくるフィアは若干顔色が赤いけど前に見た発情期の顔と一致しているのでそういう薬か。葛藤とか緊張から逃げたなこいつ!
そのまま唇を奪われ、グッと身体を抱きしめられたのでこちらからも抱きしめ返した。……やっぱり近くで見ると美女というよりかは美少女なんだよな。
「……今何時だ?
おーい、起きろー」
「…………ふみゃ?」
そして翌日。眼が覚めるとフィアが自分の腕を抱き枕にしていた。ついでに自分は素っ裸だったので妙に寒い。昨日の惨事はわりとそのまま残ってしまっているので、急いでフィアを叩き起こして掃除を行い後片付けをする。
部屋から出ると輸送部隊の子達からはおめでとうございますと祝福を受けるフィアと、何でバレたのか分からない自分。何か獣人特有の大人になった証とか出てるのかなと思ったら自分の方にキスマーク残ってたわ。キスマークというか噛み跡だけど。
……獣人同士の惨事だと互いに噛み合う文化があるようなのでフィアの首筋とか自分も噛んだけどフィアの方には跡が残ってねえ。いや流石に女の子を本気で噛めないわ。体格の差でそもそも途中で噛むのが難しかったし。
これシンカー共同体の母星にいるという獣人ハーレムの主とか結構大変そうだな?全身噛み跡だらけになってそうだ。……奇妙な文化のような気もするけど、周囲へのアピールの意味とかもありそう。
ちなみに昨晩は3回戦が終わった後にこちら側がギブしました。最初は『こんな美少女というか美女を抱けるとか何回でもイける』という気がしたんだけど結局2回で満足してしまったというか結構無理やり3回戦に移行されたというか。まあ自分は性豪ってわけじゃないし基本1日1回で満足するタイプだからそれ以上は苦しい。
「アキラはもうちょっと体力付けようねー」
「いや体力の問題じゃねえだろ。……何回やるつもりだったんだよ」
「……しばらくは独占して良い?」
「むしろしてくれ」
フィアとは男女の関係にもなったわけだけど、今までと距離感はさほど変わらず。……たぶん空母内にいる戦闘機乗りの子達とかからのアタックは激しくなるんだろうな。
「あ、あと獣人は鼻が利くから私とアキラの匂いが近くなったのは噛み跡が無くなっても分かるよ」
「……じゃあまあ、全員分かるってことだな」
医療用のスプレーみたいなものでサッと傷跡を消したが、どうやら匂いが近くなることで関係を持ったこと自体は分かってしまうものらしい。……まあ手を出したことに対して後悔はしてないし、責任を取る準備も覚悟も出来ている。
帰りはちょっとだけ互いにボディタッチが多くなりながらも、いつも通りヒノマルサイクツの今後について希望や将来の展望を話し合った。何だかんだこの世界に来て、一番楽しい時間はフィアと未来の事について話す時だわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます