第33話 後方襲撃
敵の巡洋艦1隻と駆逐艦2隻もシールドを剥がし、移乗攻撃で乗組員を全員追い出して拿捕したことにより一時的に自分の艦隊は巡洋艦1隻、駆逐艦10隻、戦闘機70機の艦隊となった。もう一丁前に1つの軍として機能するレベルだけどこの内半分以上が壊れかけのポンコツです。よく考えたらシールドの最大値が通常時の半分とかシールドジェネレーターがぶっ壊れる寸前じゃない?
あと何で修理待ち状態なのに修理してないんだと思ったらネルサイド協定の人員は交易ステーションの防衛プラットフォームの方を修理していた。あの修理が終わっていたらこちらの艦隊に被害も出ていただろうし撃退されていただろうけど……相手は艦隊を修理する方が結果的には良かっただろうね。まあ防衛プラットフォームの修理が間に合ってないことを確認してから突撃したんだけど。
そしてもう一度レントール星系の方へ戻る。何だかんだ、駐屯軍が善戦しているし思っていたよりネルサイド協定が強くない。ただずっと戦闘を続けていたからか疲弊している戦線もあるな。お、また補給&修理のために撤退中の巡洋艦が来た。戦線復帰されると面倒だし、巡洋艦はもう1隻欲しいし寄越せ。
「ヒノマルサイクツが移乗攻撃して来たぞ!?」
「何でこんな後方にいるんだ!?」
「あ、あれ全部元々俺達の船かよ!?」
本日2度目となる移乗攻撃用のポッドを射出し、巡洋艦を強奪した後はすぐに元々の駆逐艦4隻で戦線の薄いところに突撃。裏からの強襲を防ぐ術は基本ないし、駆逐艦4隻の後ろに更に駆逐艦が6隻、巡洋艦2隻が見えているなら戦闘機達は蜘蛛の子を散らすように去っていくな。
「戦線に大穴が空いたぞ!」
「突っ込め!裏取りしてくれた艦隊には感謝だ!」
「あれ……?ヒノマルサイクツってあんなに駆逐艦持ってたか……?」
戦線に大穴が空いたため、そこから雪崩れ込むこちら側の戦闘機達。ネルサイド協定の寝具みたいなマークからヒノマルサイクツの日の丸とツルハシのマークに切り替えておいて良かった。これでこの緒戦、こちら側の勝ちだし当分ネルサイド協定は元ラドン連邦北西第四セクターに引き籠るんじゃないかな。
「ネルサイド協定が撤退を始めたぞ!」
「追え!全力でレントール星系から追い出せ!」
「あ、すいません。うちの艦隊は半数以上が壊れかけなんで撤退して良いですか。
これ今のうちの艦隊のシールド値と船体値のまとめです」
軍のトップ達は追えとか言ってるけど、自分の艦隊の半数以上が壊れかけのデータを渡したら「戦線に大穴を空けたことには感謝している。撤退を許可しよう」とか言ってくれたのでさっさと逃げる。
……戦線が一部崩壊したとはいえ、まだネルサイド協定側の方が大型船は多いし持ち直せたとは思うんだけど流れを見て戦力を温存するために撤退したかな。このレントール星系だと酒場ステーションとか交易ステーション、あとはテラニドカンパニーの造船ステーションまであるからステーションが持つ防衛プラットフォームからの攻撃も痛い。基本、星系基地やステーションのある防衛側の方が戦争は有利だ。
「……本当に奪えちゃったよ」
「修理待ちの船をずらっと並べていたあいつらがアホだっただけだぞ。あと最後の巡洋艦は欲張り過ぎた。少しでも相手の動きが機敏だったら捕まってたと思う。
……もう一回ぐらい出来ないかな」
今回強奪出来た船は、全部修理して艦隊に入れよう。巡洋艦2隻は滅茶苦茶美味しいし、痛めつけてくれていた星系の駐屯軍には感謝。元々シールドがほとんど剥げていたし、自分達が襲い始めたらわりと呆気なく拿捕出来た感じ。
一応その後、ラドン連邦の軍はエレーヌ星系とのハイパーレーンまで進軍し、そこで停止した。まあエレーヌ星系だとステーションの防衛プラットフォームからの援護射撃も無いし、戦線は持ち直されたし、ここから更に攻撃は今の戦力だと厳しいか。
さて。被害報告をしないといけないんだけどどうしよう。報告書には轟沈した船の数とか書かないといけないのか。
「轟沈数、巡洋艦-2隻、駆逐艦-6隻、戦闘機-10機とあるがここにはマイナス付けなくても良いぞ。
いやちょっと待て。お前らの艦隊に巡洋艦無かっただろ。虚偽の報告を出すな」
「拿捕して増えた艦船数なのでマイナス付けるであっているはずです」
「……は?増えた?」
「巡洋艦2隻、駆逐艦6隻、戦闘機10機を拿捕したので結果から言うと艦船数は増えてます」
最初期にお世話になったハストール星系の採掘ギルドのおっさんに、被害報告をしに行くけど話が通じない。向こう側がずっと困惑している上に「お前だと話にならんからフィアを呼べ」と言われた。あの一応自分が社長なんですけど。
「……轟沈した船はなかったです。船はその、本当に巡洋艦2隻、駆逐艦6隻、戦闘機10機が増えています。戦争序盤にエレーヌ星系まで潜りこんで修理待ちの船を全部拿捕しました」
「なるほど。あの激戦の中1隻も落ちず、修理待ちの船を根こそぎ奪ったと。
……そんなわけあるか!?」
「奪った船は、移乗攻撃して奪った船もあるぞ。えー、シルフィは駆逐艦からの映像を採掘ギルドの方に送ってくれ。何故か採掘ギルドのおっさんが戦果に納得してない」
「私も納得してないです。こんなに簡単に裏取り出来た戦争は1回もなかったです」
採掘ギルドの前でおっさんとの言い合いをしていたら、ハストール星系の駐屯軍のトップがやって来て食事に誘って来たけど断って良いかな。……一応活躍したし、文句は言われないと思うけど何か怖い。
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