第28話 移乗攻撃
ネルサイド協定の眼がマジになり、駆逐艦やら巡洋艦やらを宙賊基地の護衛にし始めた時の、自分の感想としては「あの大きな船が欲しい」だった。
そしてこの世界では駆逐艦や巡洋艦などの一定以上の大きさの艦船相手に、移乗攻撃を仕掛けることがあることを知る。ただ実行するためには相手の船のシールドを剥がし、戦闘機達が連携して相手の武装だけを破壊して丸裸にして、船体に1ヵ所大きなダメージを与える必要がある。
そのダメージを与えた所に移乗攻撃用のポッドを射出し、移乗攻撃を仕掛けて船内を制圧すれば自分の船にすることが出来る可能性があるということ。……非常に面倒な上、これで手に入るのは武装やエンジンが破壊された上に船体にもダメージが入っているボロボロな船。恐らく修理して、ついでに改修もして、実践運用するためには駆逐艦でも500万クレジットは必要になって来るだろう。
でもその500万クレジットでフルスペックの駆逐艦が手に入ると考えれば、5000万クレジット払って丸々買うよりも随分と安上がりである。
「……最低限相手も白兵戦用の人員を配備していたら十数人は船の中にいるから、こちらの白兵戦用戦力としては30人ぐらいは欲しいところだよ」
「じゃあ孤児院から30人雇って、で雇える?」
「どうだろう……そんなに移乗攻撃自体が一般的ではないし、交易ステーションや惑星を探索する時の護衛として雇ってその上で移乗攻撃を仕掛ける際は率先して行くような契約にした方が良いかも」
「まあそんなにポンポン起こるようなことじゃなさそうだから普段は護衛で良さそうだな。……わりと自分に護衛欲しくなって来たし」
ただ移乗攻撃時の白兵戦用として雇うというのはあまりない契約らしいし護衛として新しく30人雇う感じになるかな。移乗攻撃用のポッドは、自分が乗る大型輸送船に積むとして、普段からこの大型輸送船には30人の女の子が乗るということになる……?一応大型輸送船は居住スペースもあるとはいえ30人は多いぞ……?
いや、フィアの中型輸送船の方に10人載せたら良いのか。それなら結構余裕を持って30人を受け入れられるな。もし駆逐艦とか巡洋艦を手に入れたらまずは戦闘機隊のリーダー達に艦長なって貰って、それぞれの戦闘機隊を軍にしていこう。
「駆逐艦相手に戦闘機だけで挑むなら最低でも15機、出来れば20機は欲しいところです。巡洋艦相手だと全戦闘機隊を足しても戦力として足りるか分からないです」
「戦力比としては1戦艦=4巡洋艦=16駆逐艦=256戦闘機ぐらいだっけ?……初回は全軍で、孤立している駆逐艦を狙う必要があるのか」
「それで手に入るのが足回りをやられている駆逐艦だから……大型輸送船とかが曳航する必要があるです」
シルフィも移乗攻撃については知っていたし、駆逐艦を戦闘機隊で武装丸裸にして移乗攻撃をすること自体は可能だと話していたのでやってみる価値はある。だけど万が一移乗攻撃用ポッドが撃ち落とされたりしたら全滅するし、移乗攻撃時に複数人の命が失われるのは怖い。
「……連絡したら移乗攻撃前提でも護衛役で雇ってくれて良いってさ」
「マジで!?たぶん地上軍より死ぬ確率高いぞ!?」
「人間に負ける落ちこぼれを送るつもりはないって」
「ああ……1万人の獣人の中での戦闘エリート30人が送られてくるのか……」
フィアが孤児院に連絡を取ったら『可』の返答が返ってきたので近接戦闘のエリート達30人を雇う。なお名前はセンイチちゃんやセンニちゃんになった模様。もうフィアのネーミングセンスはボロボロ。
この30人は成績が孤児院の上位30位までの孤児だったようなので全員やる気満々だけど女の子だから華奢な子も多い。
特にセンシちゃんなんか背が低くてめっちゃ腰細いのに近接戦闘大丈夫なのと聞いたら一瞬で背後を取られて首絞められた。足で背中側からガシっと抱き着いて来たんだけど力強くて折れる折れる折れる!
首を絞めている腕をペシペシ叩いてたら解放してくれたけど死ぬかと思った。ついでに足で抱き着かれていたところがやたらと痛い。優生主義の戦闘民族が劣等扱いしている親達の子供とはいえ、ひたすら訓練受けた結果の上位層達なんだから見た目以上に強いよね……。
全員分のパワーアーマーと、小銃や剣を買い与えると結構な金額にはなったけど戦闘機1台買うよりかは安いので無問題。大体1人3万クレジットぐらいで装備揃った計算になるな。日本円換算だと30万円だから安いのか高いのか微妙なライン。
でも移乗攻撃のための地上軍のトップに任命したセンイチちゃんが「良い装備です」と喜んでいるからたぶん良い装備なんだろう。シミュレーターで移乗攻撃を試させたらあっという間に制圧したし本番が楽しみでもある。
そうこうしているうちに、追加で発注していた戦闘機12機が完成したので新しくトーナとハッチを戦闘機隊のリーダーにして、戦闘機隊を48機まで拡張。そろそろ採掘企業から略奪企業に変更した方が良いんじゃないかと思いつつ、マレーヌ星系にいるネルサイド協定の駆逐艦目掛けて進軍を開始した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます