第13話 採掘船団

テラニドカンパニーから中型採掘船を3隻購入し、わりと財布の中がすっからかんになったけど、これで自分は中型採掘船を4隻持つことになった。人手も確保しているので、これからは4倍の速度で採掘出来るわけだな。


ついでに自分の採掘船のシールドジェネレーターと武装を換装して、シールドジェネレーターは軍用クラスⅢのランクⅢ、武装は軍用クラスⅡのランクⅢのレーザー光線を装備。あとフィアさんは自分の船体に合わせるため、一度中型採掘船を売って、自分のと一緒の船体と装備にしていた。


「私1人だけ早くても意味ないし、私の採掘船だけ容量800Pだと計算し辛いでしょ?」

「まあそれはそうなんだけど……とにかくこれで、艦隊としては5000Pまで採掘出来るな」


中型採掘船を3隻買った日の翌日、ドッグにはずらりと自分達の採掘船が並んでいた。いや壮観だな。この内4隻は自分の船だと考えると超楽しい。


「ヒノマルサイクツって変な企業名だよね。ヒノマルってどういう意味?」

「んー、この世界で説明するのは難しいなあ。まあ地元の国名みたいに思ってくれ」

「稀人の元居た世界の国名に、採掘をくっつけただけかあ。……ネーミングセンスは私の事馬鹿に出来ないと思うよ?」

「イチカ、ニノ、サンディよりマシだろ……。3人とも、希望する名前があるなら変更して良いぞ」

「イチカはイチカのままで良いです」

「私も」

「僕も」


新しく加入したイチカ、ニノ、サンディの三人は艦隊の利益の1%が貰える賃金になっているけど冷静に考えたら1日に5000クレジットぐらいは出るからそこいらの採掘人より遥かに稼いでいるんだよな……。


早速今日は、プラチナの採掘を行う。まだオファー停止はしていないから、たぶん一気に倉庫にある分を移送とかしたんじゃないかな。


「フィアとイチカはここの領域、ニノとサンディはあっちの領域で」

「了解。3人の面倒は私が見るね」

「お願いします」


星系に埋蔵されている資源の量は、かなり膨大だ。それこそシリコンなんかは数十年採掘をし続けられるんじゃないかってぐらいに桁違いに多いし、プラチナも少ないとは言え、場所が分かっているなら余裕で掘れる。


ただ一か所にいっぱいあるような状況でもないので、3ヵ所に分かれて採掘を実施。自分は時々マップも見て、宙賊の警戒を怠らないようにしよう。ずっと資源掘ってるとマップ見れないから気付けないんだよね。まあ自分のところが一番プラチナの割合が高い小惑星の多い地域だから、マップ見ながらでもプラチナを掘る速度はそんなに変わらないでしょ。


「僕とニノは満タンになりましたー!」

「こっちも1000P確保したけどフィアのところは?」

「ちょっと待って……。

イチカだけ940Pだからもうちょっと」

「帰りに自分が掘った宙域を通るはずだからその時に60P分回収しといて。100P分は射出しているし」

「……そういう手も取れるのね。ということはこれでプラチナが5000P貯まったということ……?」


ただ今日は宙賊の襲撃もなく、プラチナを5000P分国へ納品し、1回で100万クレジットの儲けを出す。これを2回実施して、200万クレジット。儲かるなーと思っていたらまた交易ステーションがオファーを停止させたので空いたプラチナの容量は10000P分しかなかったのかい。


「それで、200万クレジットの内経費と護衛料を除いた197万クレジットが利益として入るわけだけど、1日で中型採掘船を3隻買った元が取れたな」

「……これはどんどん人は増やした方が良さそうだね。

イチカ、ニノ、サンディを雇った孤児院と専属契約する?」

「別に良いけど女の子ばかり選んで来るなよ」

「えっ」

「……えっ?」


フィアさんと、今後の話をするけど人は増やして行った方が稼ぎはより大きくなる。その分管理は大変になるだろうけど、段階的に拡大していけばより早くテラニドカンパニーの有力提携企業に昇格する。


だからまあ、フィアさんが気に入ってそうな孤児院と専属契約をするというのも特に止める気はないけど女の子ばかり選ばないでねという言葉に空気が死ぬ。……何か変なこと言ったかな?


「……この宙域の近辺にいる獣人は人間で言う性別:女しかいないよ?」

「はあ!?」

「稀人が何も知らないのは知っていましたが、これほどとは思わなかったです。

獣人の男は母星に送られるので、母星以外に男はいないです」

「あー、もしかして獣人の男って希少なの?」

「そういうわけじゃないけど……シンカー共同体では男の数を制限しているの。獣人の男って狂暴だし、滅多に母星からは出して貰えないよ」


フィアさんの横にいるシルフィさんにも突っ込まれて明かされる衝撃の真実。獣人は女しか母星の外に出られないらしく、首都である母星以外にいる獣人は全員女の子らしい。どういう生態なんだ。


ついでに突っ込んで聞いてみたけど人間の男と獣人の女性が結婚した場合、生まれるのは人間の男の子と獣人の女の子だけで逆は生まれないらしい。これ、シンカー共同体は中々にしたたかな生存戦略をしているな。人間の男だけが増えるから、将来的に問題になるんじゃないかこれ。


まあ別種族同士の結婚自体があまりないみたいだし、広大な領土があるラドン連邦だとその程度は誤差になるか。しかしこれから追加される人員は、大抵が女の子になる可能性があるということで……いやまあ別に良いというかぶっちゃけ嬉しいけど。


だって男だもん。引き籠りの陰キャとは言え女からチヤホヤされたり、女を囲いたい欲ぐらいはあるよ。ただこの調子で人を増やしたらめっちゃ大変なことにもなりそうな気はしている。……普通に採掘人から募集するのも考えておくか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る