夏の夜の奇譚

@shin_252535

第1話 集い

「それではみなさん、良い夏休みを過ごしてください。」先生はパンッと両手を叩き、帰りのホームルームを切り上げた。

 小学生最後の夏休み、何か思い出に残ることをしたいという気持ちから、僕と小太りで眼鏡をかけた西川、そして全体的に細身だが元気が溢れている小室の3人で肝試しを計画していた。僕は足早に帰宅し、自室に着くとすぐさま昨夜のうちに用意していた懐中電灯や予備電池、非常食などの肝試しグッズをリュックに詰めた。初めてということもあり、なんだか特別な気分に浸っている。家から飛び出し、友人との待ち合わせ場所に向かった。そこは古びた神社であり、日中でも周囲を取り囲む木々の影響で涼しい。そして、その薄気味悪さと人気のなさから浮浪者の噂や地元の悪ガキの集会が行われている。もちろん、今回僕たちがここで肝試しをすることは親には言っていない。

 時刻は午後4時、まだ日が沈むまでに4時間ほどある。程なくして西川と小室がのそのそと歩いてきた。

「ふぅ、やっとついたよォ。」西川は眼鏡を取り、汗をシャツの袖でぬぐいながらつぶやいた。

「すまん!すまん!どんぐらい待った!?」小室は相変わらず元気が良い。

 僕はのそりと立ちあがり、「10分も待ってないよ」と、笑顔をつくった。

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