気づけバカ‼

@ai_star

第1話 好きな人がいる

わたしには好きな人がいる。彼とは幼馴染で家族ぐるみで遊ぶほどの仲だ。小学生の頃はほとんど彼と一緒に登下校したし、学校が終わったら、彼がわたしの家に遊びに来たり、わたしが彼の家に行って遊んだりした。人によっては成長するにつれて異性と関わるのが恥ずかしくて疎遠になっちゃうなんて話も聞くけれどわたしたちはそうならなかった。中学に上がってからも一緒に登下校し遊ぶ関係は変わらなかった。

ある日、同じクラスの井上さんに聞かれた。

「柏森さんって明くんとは付き合ってるの?」

その時は笑って「ただの幼馴染だよ~」って答えたけど、このことがきっかけでわたしにとって明はどんな存在なんだろうと自問するようになった。


後日、井上さんが明に告白して振られたことを知った。わたしは彼女になんともいえない不快感を抱いたとともに安堵したことに気づいた。わたしは明への想いに気づいてしまった。その日の帰り道、いつもどおり明と一緒に帰った。明を意識してから気づいたのだが、彼は一緒に帰ると常に車道を歩いてくれていた。そんなさりげない優しさを感じながら井上さんの話を振ってみた。

「井上さんに告白されたんだって?」

「…うん。」

「付き合ってみても良かったんじゃない?」

思ってもないことを言ってしまった。すると明は

「うん。でも俺は好きな子いるから…まだ告白する気はないけど」

「…へぇー、そうなんだ!」

衝撃だった。そして衝撃ついでに聞いてしまった。

「誰なの?」

彼は見たことない表情で「秘密」と言った

それ以来明の好きな子が誰なのか怖くて聞けずに、かといって疎遠になるわけでもなく中学を卒業した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺には好きな人がいる。彼女とは幼馴染で家族ぐるみで遊ぶ仲だ。小学生の頃はほとんど彼女と一緒に登下校したし、学校が終わったら、彼女が俺の家に遊びに来たり、俺が彼女の家に行って遊んだりした。彼女とはゲームという共通の趣味があり、格ゲーしたり、モンスターを狩るゲームを一緒に遊んだ。中学生になってもこんな関係が続き、気づいたら彼女のことが好きになっていた。だけど俺にとって彼女と過ごす時間は居心地が良くて、この関係が壊れてしまうことが怖くて告白できずにいた。


「入学してからずっと明くんのことが好きでした。明くんとお付き合いしたいです」ある日、同じクラスの井上さんに告白された。

「俺好きな人がいるんだ。ごめん…。でも気持ちは嬉しい」

井上さんのことはよく知らなかったし、紗夜のことが好きだったから断った。


「井上さんに告白されたんだって?」

ある日の帰り道に紗夜から聞かれた。紗夜が知っていたことに驚いたのとそのあと好きな子について聞かれたのは覚えている。そして「秘密」と言ってお茶を濁したことも覚えている。紗夜との関係が壊れてしまう恐怖のほうが強くて勇気が出せなかった。それ以来、彼女とは疎遠になるわけでもなく、かといって関係が進展するわけでもなく中学を卒業した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る