第5話 猫と友達に
依頼から三日後、夕方まで何度も捕まえるチャンスはあったがあと少しのところでさっと体をかわして逃げてしまう。
太陽がビルの陰に隠れて空が赤く色づいてきたころ、一助も三日間歩き回って疲労困憊し縁石に座ってため息をつき
「あ~あ、疲れたぁ……」独りごちりペットボトルのお茶を飲む。
すると、いつの間にかルージュが隣に座っていて一助を見上げている。
何となく掌で受け皿を作って用意していた水を注ぎ、口の所へ持って行くとペロペロと舐める。
―― 一杯遊んで喉乾いたのかなぁ……可愛いとこあるじゃん。
そんな様子を見ていると相好が崩れる。
そして満足したのか自らゲージの中に入って餌を食べそのまま寝そべっている。
「何だ? いっつもこうなる。俺、完璧にバカにされてるじゃん……腹立つ。けど、可愛いから許す……」と、独りごちる。
一助の呟きが分かったのかルージュは「ニャー」と鳴いて大きな欠伸をした。
「お帰り」とルージュに声を掛けてゲージを閉じて暮林宅に向かった。
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