No2

谷合一基生

第1話 この教師、どこかおかしい

 僕はどうしても教師立花に対して自分と似たような感じを受ける。現在は30歳男の立花だが高校生の時は僕と同じように周りから少し離れたところで客観的に冷静に皆を見ている存在、そんな印象を受け始めていた。

 「だからなぁ、そうだなぁ。要するに一次的というか変な猿だ、猿」

 「視覚を極端に拡張された猿。私の世代からそういう傾向にある。」

 「これだから結婚なんてする人間は。あんなもの一過性の感情に基づいたものでしかない!」

 訂正、やっぱり僕とは違う、冷静とは言えない。

 「そこらへんの一般人はそういう異性の些細で単純な罠に互いにはまりあっているんだ、伊笹目君。」

 じゃああなたは芸能人か何かなのか?

 「立花先生、そんな結婚とかの話、僕にはまだ早いですから。よく分かりません。」

 「いや、これからすぐに君にとって重要になるんだよ。高校一年生の時なんてね、女子と付き合うなんてことは男子の中では小恥ずかしいもののはずなんだよ、だから皆にいじられるとかいう.............」

 「先生!テストの話なんですけど!」

 訳の分からない事を話し続けようとする立花を現実に呼び戻すように半ば怒気に満ちた声で僕は言った。

 「ここ、先生の採点ミスですよね?早く点数をつけなおしてください。僕もう帰りたいんで。」

 「あぁ、そのことね。すみませんすみません。これでどうですか。しかし焦りというものは良くない。婚期を遅らせるだけだ。だから若い学生の内から.............」

 ------ガチャン!

 全く長いからだよ先生、先生が結婚したいのかどうなのか僕にはよく分からない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

No2 谷合一基生 @yutakanioukasurukessya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る