私と言葉~もしも、あのひとことが違っていれば~

美倉 海月

第1話 プロローグ:わたしは、今

はじめて言葉に救われた、あの日。

言葉の大切さを知った、あの日。

言葉の重さに衝撃を受けた、あの日。

言葉を扱う職業を夢見た、あの日。

あのことばを聞いてしまった、あの日。

そして今、私はこの道を歩みだしている。


そう、きっとこれは、ハッピーエンドの物語。

あの時の判断は、きっと間違っていない。


…もし、あの時、もっと違う言葉をかけられていたなら。

私は「小説家」として、何にも考えずにデビューしていたのだろうか。


なんて、あるはずもないことを考えてみては、いやいやと心の中で否定する。

小説家なんて。自分のことばをあんなに大勢に発するなんて、私には到底できそうにない。

…きっと、やりたくも、ない。


そう、始まりは、あの日。

もっと、ずっと前のことだった。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る