第73話
無事、迎撃機3機が敵戦闘機編隊を通過すると、編隊中の1機が大破している。
強行突破中に放ったルイスのレプトンが命中していた。
然し、他の敵戦闘機が3機の迎撃機を追尾している。
直線航行ならパイロットの腕に関わらず、同様の速度で追尾できる。
今までの戦闘で迎撃隊が勝利を収めて来たのは優秀なパイロットの操縦技術に他ならない。
後方からハァー1、ハァー2が援護射撃をしているが、さらに後方を飛ぶ大型護衛機が接近しパルスレーザー砲を浴びせようとしている。
「ハァー2よりハァー1へ、後方の護衛機は私に任せろ、迎撃機フォーの後方支援を頼む」
「ハァー1よりハァー2へ、1機であの護衛機5機を迎え撃つのは無理よ。例えパルスレーザー砲だとしても侮ってはいけない」
「ハァー1へ、安心しろ」
クロウがそう伝えると、ハァー2は旋回し、真っ直ぐに護衛機編隊へと飛んで行く。
ハァー2が敵護衛機に近づくと1機の迎撃機を目掛けて敵の一斉射撃が始まる。
クロウは、急旋回で
その間、ルーの放ったレプトン砲が護衛機1機に命中する。
大破までには至らないが、攻撃能力を失い編隊から離れて行く。
「一発では無理か」
とルーが言うが、
「迎撃機のレプトン粒子はレベル1が精一杯だ。しかも、粒子を充填するには時間が掛かる」
とクロウが答える。
「このまま、敵艦隊の後方へ回る」
クロウはそう言うと、遥遠くへと航路を取り、まるで逃げたかのように思える状態で艦隊後方を目指す。
一方、迎撃隊フォーは追尾されたままであるが、またもや散開し敵の後方へ着くと、後方からの護衛機のパルスレーザー砲に阻まれる。
このままでは、迎撃隊とハァー1は挟み撃ちを続けられ、その間合いが狭まって行くばかりだ。
と、その時、ハァー1が戦線から離脱したかのように見えた。
「どうしたのニーナ」
「距離を取ります」
「どう言うこと?」
「クロウ海賊船の正面から撃ちます、レプトン粒子は最大限でどれくらいのレベルまで上げれますか?」
「レベル1までよ、それ以上になると充填装置が素粒子運動に負けて此方が大破よ。精々保って1.2までね」
「それで行きます」
「どう言うこと? あ、そう言うことね。でも、それだとレプトン粒子はレベル0.5くらいの威力に落ちるわよ」
「いいんです。束の間の隙を作りさえすれば」
「分かったわ、彼らに連絡する」
それより少し遅れて、ルイスより連絡が入る、
「おーい、そりゃないぜよ。こんな時に戦線離脱かよ」
迎撃隊長の連絡を聞いてダフォーが答える、
「もう一度旋回して、今度は戦闘機編隊の前へ出て、ここから微量のレプトンを放つわ。一瞬でも護衛機の動きを止められる」
「なるほど、危険すぎて、あまり良い考えには思えないが・・・」
「命を賭けることと、命を捨てることのどちらを選ぶ?」
「分かったよ、やってくれ。全機に告ぐ、聞こえたか、全速前進だ」
そう言いながらルイスの放ったレプトン粒子が戦闘機1機を撃ち落とす。
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