第55話



 海賊船が時の扉を開けて時空間移動を終え、宇宙の海へ姿を現している。

やがて光速から全速前進に変わり、月を目指して航行する。

月が目視できるようになった時、セントラルのドーム内は大騒ぎである。


「レーダーに未確認飛行物体発見」


 その連絡でそれぞれのセクターは、苛立っている。

海賊船騒ぎの最中である、当然と言えば当然のことである。


「今の所、攻撃の様子はありませんが、徐々に近づいています」


 その言葉を聞いて警備隊はスクランブルフォーメーションでいつでも飛び立てる体制を整え出す。


「全機に次ぐ、未確認飛行物体の目的が分かるまでは待機しろ。攻撃が目的であれば、無人戦闘機を飛ばす。相手の力量が分かるまでは無駄な動きは無しだ」


 警備隊隊長のボルグが全機に告げる。

そしてボルグに無線連絡が入る、


「隊長機へ、セクター1第1管理棟より、月防空圏内に入り次第攻撃せよ、とのことです」


「了解、無人戦闘機を6機、全て発進させろ」


 海賊船は、そんなことも知らず構わずでゆっくりと月に近づいている。

そして、月防空圏内に突入した。


「無人戦闘機、発進」


 ボルグの緊張した声が無人戦闘機操作室に届く。


「了解、無人戦闘機、発進」


 その頃、海賊船内では、


「月より、生命体反応のない小型宇宙船、無人飛行物体離陸を確認」


 それを聞いてクロウが船内離発着室に指示を入れる、


「ルイス、聞こえたと思うが相手は無人だ。頼んだぞ」


「こちらフォー1、無人だってか? 了解。聞いたか? 無人だとよ。撃ち落とすぜ、発艦!」


「フォー2、発艦」


「フォー3、発艦」

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