第45話



 時空間移動を終えて暗い宇宙の海を漂っている船がある。

航海長が船長に告げる、


「クロウ、鷲座、イーグル・アイよ」


 航海長ダフォーに答えたのは船長ではなく副長のウイスである、


「なぁ、船長よ、鷲の目星雲、端から端まで直線距離で3光年だ。どうやって探し物を見つけるつもりなんだい?」


 その質問にクロウが答える、


「奴らは、中性子星か白色矮星のどこかに居る。光速移動で探す」


「でも、可笑しいわね。こちらが探しているうちに奴ら気がついて、先手を打ってくるかもしれないわよ。ねぇ、クロウ、そう思わない?」


「迎え撃つ」


「そりゃ楽しそうだ」


 女性操舵師ダフォー航海長に応えたクロウの言葉に、いかにも楽しそうに迎撃隊隊長のルイスが反応する。


「ダフォー、ここから一番近い中性子星、若しくは白色矮星を探して光速移動で航行だ」


「了解、位置確認、確認後光速移動」


 船が勢いよく航行を始めると、やがて白い光の世界へと突入する。

船内から見える外の景色は、暗い宇宙ではなく、白く輝く景色。

船は今、光の中を航行している。

惑星型星雲には、小さな星の欠片もあれば、船と同じくらい大きな隕石も存在する。

もちろんそれ以上に大きな星も存在する。

予め、光速で移動する時の障害物を確認し、航路を設定する。

航海長は、そのパネルに映る空間を見つめながら舵を取る。

ダフォー得意の光速航行である。


 最初に見つけた中性子星の上空へ着くと、生命反応を調べる。

中性子星からは様々な波動が宇宙へ飛び出しているため、生命反応だけを捉えることが難しい。

あらゆる波動を除外し、生命反応だけを調べる。

もし、そこに探しものがあれば、探し者はそのままやり過ごそうとするのか、打って出てくるのかは分からない。

また、ハビタブルゾーンで見つけた時の星のように、既に、もぬけの殻になっていることも考えられる。

彼らは、とても賢い。

自分達が優勢でない限り、争わない。

そうやって生きてきた種族である。

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