第10話



 ガニメデを出発して、地球時間で三日間航行していると、通信士のレイが報告する。


「レーダーに2隻の船と周辺に宇宙船であろう残骸が見られます」


「場所は」


 とクロウ船長が尋ねる。


「はい、火星と地球の間、かなり地球寄りですね」


「おお、やるね、地球人。とうとう火星の乗っ取りに繰り出したか」


 通信士の返答にウイス副長が答える。


「精査できるか」


「今、確認中です」


 クロウの言葉にレイが即答する。


「どうして、そんな所に地球の船が・・・」


「まだ地球の宇宙船だと決まった訳じゃないがね」


 今度は、若い船員シラーの言葉にウイスが答える。


「船長、分かりました。2隻ともに地球の船。残骸も、どうやら地球の船のようです」


「俺達からから見たら同士討ちっていうところかい」


 いつの間にやって来たのか、三日前に重機を操っていた迎撃隊隊長のルイスが艦橋の天井に写っている大きな画面を眺めながら言うと、


「まぁ、そう言うことさね」


 と、またもやウイスが答える。


「どういう状況か特定できるか」


「はい、一隻は輸送船。もう一隻は海賊船、残骸は地球の警備隊の船のようです」


「光速移動だ。向かうぞ」


「了解、最高速度で移動、その後、光速移動に移ります」


 女性操舵師のダフォーが復唱する。


「全乗組員、各配置に付け。迎撃隊は迎撃機に乗りスクランブル準備」


「了解」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る