ノクティス迷宮捜索レポート(速報版)

提出: 第13調査大隊

宛先: 防衛軍 総司令部

件名: ノクティス迷宮における民間船舶捜索任務中の戦闘報告(速報版)


◆作戦概要:

火星採水関連企業の民間輸送艦アックアおよび火星駐屯地所属機の捜索


◆ 報告内容:


- 背景

現在ノクティス迷宮にて、昨年の侵攻で被害を被った水資源の採掘プラントの復興作業が進められている。その復興作業員と資材を載せた輸送艦および護衛機が行方不明になり、火星駐屯地戦闘航空団第2部隊派遣より捜索隊が出されたが、捜索隊とも通信が途絶したため、再捜索が行われた。


ー 事件の詳細

・ 友軍識別信号の検出と初期対応

第七採水プラント内部より、防衛軍機による友軍識別信号が捉えられたことから、内部調査を開始。調査過程で、プラント内において敵対勢力との遭遇があり、最奥部にて前駆巣の存在が確認された。


・ 民間輸送艦及び捜索隊の状況

民間輸送艦および派遣された捜索隊は、既に敵勢力による侵食を受けており、救助活動は不可能である状況だった。

被害者の詳細については添付の「ノクティス迷宮第七採水プラントにて発生したアザトゥス侵食による影響と被害状況に関する包括的分析報告」に記載。


・ 新型通信妨害個体の発見

通信を妨害する新型個体が発見された。この機器は、通信妨害のみならず、以前ダイモス戦で目撃されたものと同等の偽装信号を発信する能力を有していることが判明。これらの偽装信号は捜索部隊を誘引する目的で使用されたと考えられる。

新型個体についての詳細は添付の「通信妨害型個体分析レポート」に記載。



◆火星におけるクローン部隊運用についての提言


 本提言は、火星に配備されたクローン部隊の現行運用方針に関する検討結果及び改善案を提案するものである。現状、運用コストの削減を目的としたクローンの取り扱いに問題が見られ、その結果、資源の無駄遣いとも評価され得る状況にある。クローン部隊の人員損耗率低下による効果は明らかであるが、その一方でクローン自体の損耗率が高く、コストパフォーマンスに課題がある。


・現行運用の問題点

- クローンの扱いが粗雑であり、運用コストの削減策が短期的視野に留まっている。

- クローン部隊の損耗率の高さが、長期的なコスト増加につながっている。

- 自爆運用率の高さによる機体損害率の増大が、運用コストを不必要に押し上げている。


・ 改善提案

1. 訓練期間の導入:

 クローン兵士の実戦投入に先立ち、1~2か月の訓練期間を設けることを推奨する。この期間を通じて、兵士の戦闘スキルと戦場適応能力を向上させることが、長期的な運用コストの削減と効率化に寄与する。

 Type-QPシリーズオリジンであるシリアルナンバー001個体は特に高い戦闘能力を有している。Type-QPシリーズはオリジン同等のスペックを有するため、訓練プログラム導入によりその能力を最大限に引き出すべきである。


2. 学習モデルの見直し:

 オリジン同等の情緒データを含む学習モデルへの切り戻しを行い、クローン兵士の戦場での判断力と適応性を向上させることが推奨される。


3. 訓練教官の指定:

 訓練の質を保証するため、火星駐屯地戦闘航空団第7部隊のアレックス・モレノ中尉を訓練教官として推薦する。モレノ中尉は適切な資格と経験を有し、すでにこの任務に対する合意が形成されている。


結論

クローン部隊の効率的かつ持続可能な運用には、現行の運用方針の見直しと質の高い訓練体制の確立が不可欠である。本提言が実施されることにより、運用コストの削減とクローン部隊の戦闘効率の向上が期待される。


報告者: ノブヒコ・シキシマ少佐

    キリヤ・アサクラ大佐

所属: 第13調査大隊

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