ヒロインしか愛せない

いろは

第1話 ヒロインしか愛せない

「あ〜〜ヒロインってのはなんていいもんなんだ、処女で可愛くて主人公を騙さず尽くしてくれる。なぁお前もヒロインが一番だと思うよな」

「まぁ確かにわからなくもないが。で、なんでまた唐突にヒロインの話なんて始めたんだ?佐藤」

「なんでってそりゃ俺の彼女がヒロインみたいに可愛いからだろ。お前話聞いてんのか?」

「いや初耳なんだが……。俺に言ったってことは詳しく話を聞かせてくれるのか?」

「いや話さないけど?てか俺このあと彼女と予定があるから喋ってる場合じゃないんだわ。じゃね」

「ならなんで俺に話したんだ……っておいまじで話してくんないの!?………………たく自分勝手な奴だな本当に、てかもうちょい親友を大切にしろっての」


 そう苦笑しながら彼は思う。

 願わくばあいつの今の彼女があいつの理想たりえることを。


 


          ※


 まずいなちょっと親友と話すぎた。このままだと彼女の家に行く約束の時間に間に合わない。


 焦る思いが俺のあしを速める。


「間に合ったか?」


 俺は息も絶えだえになりながら腕時計を見る。時間は約束の5分前。


「よし!」


 人間やろうと思えばどうとでもなるもんだな。そう思いながら俺は家のチャイムを押す。


「ピンポーン」


 …………………………ガチャ。


「亮くんいらっしゃいちょっとリビングで待っててまだ部屋片付け終わってないの」


 そう彼女は頬を赤くして言った。


「なんだよ付き合ってるんだからそんなこと気にしなくてもいいのに。俺は部屋が汚いぐらいじゃ嫌いにならないよ」

「亮くんが気にしなくても私が気にするの!」

「ふふ、怒った愛も可愛いな」

「もう…、そんなこと言って家の中で何するつもりなのよ」


 俺は少し考えたそぶりをして言う。

 

「大人の遊びかな?」

「!、そんなこと期待してたんだ……えっち」


 そう言って顔が燃えているんじゃないかと思ってしまうほど顔を赤くして彼女階段を駆け上がって行った。


 どうやら親がいない家に呼び出されてデートするということは、二人で一緒に大人になろうという意味ではないらしい。がっつきすぎの変態だと思われて、別れようと言われないようにしなければ。


 俺はそんなことを思いながら彼女の家に入る。


 家の中はとても綺麗でこの家に住んでいる人が相当な綺麗好きだということがわかる。リビングに行くとテーブルにはお茶と茶菓子が置いてあり彼女がいかに気遣い上手なのかわかる。


「天使すぎる」


 思わず声が漏れてしまう。しかしそれほどまでに彼女は俺にとっての完璧なヒロインだ。ああ、俺はなんで幸せものなんだろうか。


 そんなことを考えながら用意された茶菓子とお茶をちょうど飲み切った頃。


 とんとんとゆっくり階段を下る音がして

 

「片付け終わったから私の部屋に来てもいいよ…⋯」


 少し頬を赤くしながら彼女が言った。しかしなぜ彼女頬は少し赤いんだろうか?今日一緒に大人になるつもりじゃないなら恥ずかしいなんてことじゃないんだろうし………うーむ、乙女心はよくわからん。


          ※


 そこはまさに俺の理想の空間だった。全体的に薄ピンク色で統一された家具、可愛らしい置物、どこを見ても女の子らしさを感じる。そう俺は今、女の子のいや彼女の部屋に来ている。


「ねぇいつまでじっと部屋を見てるのさ、あれするんじゃないの…、」


 そう彼女は色っぽく言う。


 なんだ!?どうゆうことだ!?するつもりはなかったんじゃないのか?彼女の言っている意味がわからず俺が混乱していると。


「なんだせっかく頑張って部屋綺麗にしたのに………」


 小さな声で彼女がそう言った時俺の理性はもう吹き飛んでいた。


 俺は服を脱ぎ彼女の服も脱がせてベッドに押し倒す。

 そして俺はまず何よりも目を引かれる二つの膨らみに手を伸ばし撫で回すように胸を揉みしだく。


「あっ、」


 彼女の体が一瞬震えるが俺はさらに彼女の胸の先端の綺麗な桜色の突起をいじる。


「……っ、んぁ……そこだめぇ」


 彼女の湿った声が部屋に響き俺を興奮させる。


「可愛いよ」


 そう彼女の耳元で呟き下半身に手を伸ばす。そして彼女の陰部を触ろうとして………………。


「っな……!?」


 その声に反応し彼女がどうしたのかと不安と疑問が混ざった眼差しを向けてくる。

 俺は勘違いかもしれないことで彼女を不安な気持ちにさせるわけにはいかないと思い、咄嗟に彼女を安心にさせるように微笑みながら頭の中を整理する。


 どうするか。


 咄嗟に誤魔化してしまったが俺はこのことをこのまま有耶無耶にするなどという選択肢はない。

 意を決して言葉を発する。


「……あのさ、勘違いなら悪いんだけど……もしかして愛、処女じゃないのか?」


 わかっているこの言葉がムードを最悪にしてしまうことだということくらい。でもこのことは俺にとって何よりも大事なことなのだ。


「………………うん」

「………………………………」

「でっっでもね好きな人と自分の意思でしたのはね今日が

初めてなの、私小さい頃に誘拐されてそれで………」


 そう言った彼女の唇は悔しそうに震えていた。


 俺は彼女を抱きしめるうに…………………








         





  首を絞めた。


      「俺はヒロインしか愛せない」

 

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