第5話

アジタは夜明けの商店街を

とぼとぼと歩いた。

すると、一軒の古物商から明かりが

見えた。

アジタは何かに引き寄せられるように

店の中に入った。

「いらっしゃい」

長く白い顎髭を蓄えた老人が

アジタの応対に出た。

「いろいろなものがあるんですねえ」

アジタが感心してそういうと、

「アンタにはこれなんかいいんじゃないかねえ」

老人がそういってアジタに差し出したのは

茶色い脛あてだった。

「何するんですか、これ」

「相手の足を蹴るときとかに使うんだよ」

「必要ないなあ、そんなもの」

「いや、きっと、アンタにはこれが必要になる。

わしが保証してもいい」

「いくらですか」

「ただでいいよ。もっていきな。宇宙の

安定と秩序を保つためだ」

「???」

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