第203話 獣は邪魔虫達を撒く

 私が死から蘇った時、私の体は横たわっていて、頭は柔らかな物に乗っかっているようでした。


 柔らかくて、優しい甘い香り、ずっとこの柔らかな枕で眠っていたい。私は柔らかな枕を左手で触ってみました。すると、この感触、まさか!? 私はすぐさま目を開けました。目を開けた先は綺麗な湖、そして、上を見上げると、凪さんの胸そして、胸の奥には凪さんの顔が見えました。


「なぎさっんっ!? あの、これは、一体!?」


「あっ、やっと起きた。急に倒れたから心配したのよ。緑癒が近くにいないからどうしたらいいかわからなくて横になってもらってたけど、どう? まだ気分悪いかしら?」


 凪さんの柔らかな手が私の頭を撫でてくれました。


 凪さんの太もも柔らかくて最高の枕です!!! ずっと凪さんの太ももで眠っていたい。それに、凪さんがとても優しい! こんなに私を心配してくれるなんて、やはり、凪さんは私に気があるのですね!!!


「イデアさん、大丈夫? 顔赤いわよ。熱でもあったのかな?」


 凪さんは私のおでこに手を置いて熱を測っていました。


「熱はなさそうだけど、デートどうする? このままここでゆっくりする?」


「そうですね。もう少しだけ休ませてもらってもよろしいですか」


「えぇ、いいわよ」


 凪さんは私の頭を優しく撫で、私は体力を回復する為に少しだけ睡眠をとりました。


 そして、1時間程経ち私と凪さんは次のデート先に向かいました。


 魔蟲の洞窟の5層目の魔石はどの層よりも光り輝き、幻想的な空間を作り出していました。


「イデアさんは5層目くるの初めてだっけ?」


「はい、子供達とは凪さんの家の前で遊んでいましたので、5層目は初めて来ました。とても幻想的で素敵な場所ですね」


「そうでしょ、えーと、確か、5層目の巨大な魔石の所と」


 凪さんはデートプランを見ながら歩いていました。


「凪さん、少しこちらにきてもらってもよろしいですか」


 私達のストーカーから逃げる為に凪さんと私の体を近くにあった魔石の間に体を隠しました。


「ちょっ」


 凪さんは声を出そうとしたので私は手で凪さんの口を塞ぎました。


「しぃー。すみません少しだけ静かにしてください」


 私はスキル認識阻害にんしきそがいを使い。私と凪さんを隠しました。


「あれ〜!? さっきまで獣君そこにいたよね〜!?」


「まさか、隠密系のスキルを保有しているとは思いもしませんでした。仕方ない、次のエリアで待ち伏せしますよ!」


「藍介さん、次のエリアに行くのではなく今すぐに主人様を見つけた方がいいのではないですか」


「緑癒、それはどうしてですか?」


「消えたと言うことは、主人様に如何わしい何かをする事を企んでいるのだと僕は思うのですよ!」


「なんて、破廉恥な、主人様を助け出しますよ!」


「そんな事〜。絶対にさせない。そういうことは主人様の一番である〜。俺がするんだからね〜」


「紫水、私達に喧嘩を売る気ですか」


「え〜、主人様のデートできるんだし〜。そういうことしてもいいんじゃない〜。獣君はさせないけど〜」


「そういう事をするのであれば、紫水がデートをする時、私が全力をもって邪魔します」


「へぇ〜。藍介〜。俺とやる気なんだね〜」


「もう、前の弱かった私ではありませんよ。フヨフヨさんと私の魔法の知識を持ってすれば貴方なんて一撃で倒す事が可能なんですからね」


「ちょっと! お二人とも喧嘩している場合ではないですよ! 主人様を見つけるのが先ですから! ほら、探しますよ!」


 緑癒は2人の喧嘩を仲裁し、3人は消えた主人様を探し始めた。


「やはり、藍介さんと緑癒さんそれと紫水君でしたか、あのおにぎりは藍介さんの罠」


「あっ、凪さんもう少しだけ我慢してください」


 凪さんの体の体温と柔らかさを体全体で感じ、本能を抑えるのに必死でした。


 膝枕といい、今の状態といい、もう最高ですよ! 藍介さん達には申し訳ないですが、凪さんのハートを射止めるのは私だという事ですね!


 それにしても、柔らかい! 気持ちいい! もし、凪さんがこの状態で甘えてきたら私はもう、本能に逆らえなくなってしまいます!!!

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