配信者お嬢様に近づく者はボディガードが許さない!
小鳥遊 マロ
第1話 お嬢様系配信者〈リアルお嬢様〉
「わたくし、有名配信者になりたいのですけど。どうやれば、なれるのでしょうか?」
そんな軽い出来心でしたわ。
ネットで有名になって、“わたくし”という存在を世に知らしめて認められる。
たったそれだけのことでしたわ。
ですが、努力せずに勝ち取る──なんてバカげた甘い考えをする一般市民ではないですもの。
もちろん、配信機材、その他諸々も準備しましたわ。武蔵たちが居なくたって、わたくしは出来ましたわ!
「わたくしはもう子供ではありませんわ!」
一人暮らしするって言いましたら、護衛の武蔵たちが「お嬢なりません! もし、貴方様に何かあったら──」なんて仰っておりましたけど、武蔵は少し過保護過ぎるのよ。
さらに配信活動もやるーって付け加えると、「なりません! お嬢はネットの世界を甘くみすぎでございます! それにネットの世界で配信なんかしたら、狼である性欲モンスターの男共が黙っているはずがございません! お嬢様が何か事件に巻き込まれたら、我々は当主様にお顔が立ちません! ですから、どうかお考え改め下さい!」と言われましたが、そんなのは無視無視って感じで家を出て一人暮らしを始めましたわ。
──一週間後
「……ここか」
「お前ら、野営の準備だ」
「了解っす!」
〈ご機嫌よう!〉
〈アオちゃん、ご機嫌よう!〉
〈今日も癒やしのアオちゃんを見れた! 生ぎででよがっだぁああああ!!〉
あれから一週間、わたくしは努力に努力を重ねましたわ。
「リスナーの皆様、配信を見に来てくれてありがとうございますわ。今日も楽しく配信していきますわ。では、始める前に例のアレをやりますわ」
〈いよーっ!〉
〈待ってました!〉
〈毎回恒例、叩き売りのじっちゃんのモノマネ!〉
「さぁさぁ、
〈今でしょ!〉
〈今だ!〉
〈みんな、投げろー!〉
そのコメントと共にメンバーシップや大量のスーパーチャット《投げ銭》が画面いっぱいに広がる。
そう、わたくし葵ことアオちゃんは、配信だけで生計を立てることが出来るほどの有名配信者になりましたのよ。
「はーい、終了ですーわ! 今日のスーパーチャットはここまでですわ! 投げ銭機能は切りますので、これ以降はメンバーシップだけとなりますわ」
〈よーし、今日もたっぷり投げ銭したぜ〉
〈あー遅れちゃったから、スパチャ送れなかったー。今回はメンバーシップ我慢しよ〉
〈上限スパチャ多すぎで草〉
「今日もたくさんの投げ銭、どうもありがとう」
──ピンポーン
「宅配かしら? 頼んだ覚えは無いのだけど……。皆様、少しお待ちになって」
ガチャリッ
「本物のアオちゃんじゃん!」
「俺の特定能力高すぎィイイイイイ!」
「えっ? ちょ、ちょっと勝手に入らないで下さらないっ! 誰ですの!? 」
何なんですの、この人たち。
「そんな邪険にしないでよ〜。アオちゃんのことを推してるファンなんだからさ」
「そうそう、僕たちはアオちゃんのファンで、遊びに来ただけなんだから」
「で、ですが、何で住所まで……」
「ネットに載せる情報から、住所なんて簡単に割り出せちゃうんだから、十分に注意しようね。──空泉葵ちゃん?」
わ、わたくしのな、名前まで!?
「お前ら、『アオちゃん家凸る!』っで検索よろ! 別のところで中継やってるからさ!」
「ってことで折角会えたんだ。──胸触らせろや」
きゃ、た、助けて!
「──おい、貴様」
こ、この声に……この背中は……
「む、むさ……し?」
「ご令嬢であらせられる葵様の体、しかも、胸に触れようなどと貴様ら──東京湾にでも沈められてぇのか?」
「な、何なんだよお前!」
「俺はこの御方の──ボディガードだ」
※この作品は単発です。好評であれば続きます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます