【完結】姉とその友達でやる、秘密の性教育2

あかせ

第1話 女慣れしない?

 「ただいま~」

放課後にまっすぐ帰宅した俺は、玄関の扉を開けて自宅に入る。


…姉ちゃんの靴の隣に見慣れない靴がある。誰のだ?


「それでさ~…」


「……わかる!」


リビングから女性2人の話し声が聞こえる。1人は俺より2歳上で大学1年の涼華りょうか姉ちゃんで、もう1人は数件隣に住む姉ちゃんと同学年の黒羽くろばね 那月なつきさんだな。


何故姉ちゃんはともかく那月さんの声がすぐわかるかと言うと、それなりの親交があったからだ。小学生の時は3人でよく登校していたのを思い出す。


2人が中学に進学してからは会う頻度が減って疎遠になり、運良く登下校の時に会えば挨拶するぐらいの関係になった。1度疎遠になると溝は簡単には埋まらず、大学からは1度も顔を合わせてない…と思う。遠目だったらあるかもな。


姉ちゃん達がリビングで話す理由がわからないが、俺が気にすることじゃないか。さっさと部屋に行こう。


…姉ちゃんと那月さんが玄関に来たぞ。一体何の用だ?


涼介りょうすけ、時間あるならリビングに来て。那月が久しぶりにあんたと話したいんだって」


涼君りょうくん、お・ね・が・い♡」

甘えた声を出して頼んでくる那月さん。


久しぶりに見た彼女は姉ちゃんよりナイスバディになっていた。那月さん以外女性の知り合いがいない俺にとって目の保養だ。部屋に戻ってもゲームするだけだし…。


「わかりました。着替えたらすぐ行きます」


「待ってるからね~」

那月さんがそう言った後、2人はリビングに戻っていく。


もしかして、俺の帰宅を把握するためにリビングにいたのか? 部屋をノックするのはハードルが高いからな。そう考えると納得できる。


まぁ、そんな事はどうでも良いや。さっさと部屋に戻って着替えないと。



 すぐ着替えてリビングに向かうと、姉ちゃんと那月さんはダイニングテーブルに向かい合って座りながら話している。俺は…、姉ちゃんの隣で良いか。


そう思って移動した時…。


「待って! 涼君はあたしの前ね」

話の区切りがついた時に那月さんが引き留める。


「でも…」

そこには姉ちゃんがいるんだが?


「すぐどくから心配しないで」

言葉通り、姉ちゃんは隣に移動する。


4人掛けのテーブルで姉ちゃんと那月さんが斜め状態の今、俺が座る場所は那月さんの前か隣しかない。彼女は前を望んでいるし、それに従おう。


…座ったところ、椅子に姉ちゃんの体温が残っていた。って、俺は何を考えてるんだ! 那月さんのスタイルにムラっとしたせいか?



 「涼君、ずいぶん男らしくなったよね」

那月さんは頬杖をつきながら俺を観る。


「そうですか…?」


小さい頃と比べて男らしくなったといえば、声変わりしたことと身長が伸びたぐらいだ。それ以外の心当たりはない。


「そうだよ。近くで見て確信した感じかな」


今の言い方、何か引っかかるな…。


「涼君が気付いてないだけで、あたしは何度も見かけてるんだよ。声はかけてないけどね」


「どうして声をかけなかったんですか?」


「だって、声をかけても話が弾まなかったら気まずいじゃない? 小さい頃と違って、今の涼君の好みがわからないから…」


那月さんの言う通り、気まずくなるなら遠目で十分かもしれない。


「だけど今の関係がいつまでも続くのは嫌だし、を訊きたいから涼華に協力をお願いしたんだよ」


さっき姉ちゃんが言った「リビングに来て」がそうだな。他にもあるかもしれないが、とりあえず放置だ。が気になってそれどころじゃない。


「那月さん、俺に訊きたいことって何ですか?」

内容が全く予想できない…。


「涼君ってさぁ、今彼女いる?」


何かと思ったらそんな事?


「いませんよ」


「そうなんだ…。じゃあ、気になる子はいるよね?」


何でそこまで知りたがる? 訳が分からない。


「一応いますけど…」


クラスメートの笹森ささもり かえでさんが気になっている。誰にでも優しいし、しっかり者だからだ。一部の男子の情報によると、彼女は胸が大きいらしい。それも気になるポイントだな。


「その子とは仲良くしてるの?」


「仲良くどころか、一言も話したことありません…」

さっきの印象は“俺が見てる限り”だからだ。


「…今の涼君に必要なのはだね。今日から少しずつ始めようよ」


「ちょっと那月! いきなり何を言い出すの?」


姉ちゃんの様子を見るに、これは聴いてなかったのか?


「今のままだと、涼君とその子が仲良くなる可能性は0に近いと思うけど? あたしを練習台にすれば、うまくいくよ。きっとね」


0に近いか…。痛いところを突かれたが、今のところ接点がないから事実だな。


「那月さん。どうして練習台なんて言い出したんですか?」

そんな事して彼女が得するとは思えない。


「“幼馴染の涼君のため”じゃダメ? あたしだって涼君を弟のように見てるんだよ」


そう言ってくれるのは嬉しいが、女慣れなんて数日で何とかなる事じゃない。那月さんはわかって言ってるのか?


「行きたい学校に向けて勉強するのと同じだよ。気になる子と付き合うために女慣れするって感じでね」


同じ扱いで良いのかよ? 心の中でツッコんでおく。


「那月。受験を例に出すのは構わないけど、女慣れだってすぐにできることじゃないよ。わかって言ってるよね?」


姉ちゃんが俺の疑問を指摘してくれた。


「もちろんわかってるよ。大学とバイトの都合が合う時だけやるつもりだから。あたしができない時は、涼華にお願いしようかな?」


「私に何をやれって言うの?」


とか? そのあたりは姉弟のほうが言いやすいと思わない?」


別にそんな事ないと思うが? …姉ちゃんの様子を見る限り、同じ意見っぽいぞ。


「…昔のように涼君と仲良くしたいの~。お願い~!」


いつまで経ってもOKされないので、那月さんが駄々をこね始めた。


女慣れというのは、ただの建前か。こっちが本音みたいだ。


「最初からそう言えば良いじゃん」

呆れた様子の姉ちゃん。


何から何まで昔通りになるとは思えないが、関係が改善するのは大歓迎だ。


「那月さん。俺も昔のような関係に戻りたいです」


「涼君もそう思ってくれて嬉しい♪」


すぐに機嫌が直った。…今日1番の笑顔にドキドキが止まらない。


「それじゃ、今の涼君を知りたいから部屋に案内して♡」


「部屋ですか?」


「うん。ダメ…かな?」


「ダメじゃないですけど…」

お世辞にもキレイな部屋じゃないし…。


Hがあっても全然気にしないから♡」


…那月さんの熱い視線が俺に注がれる。これは断れそうにないぞ。


「わかりました、案内しますよ。けど期待しないで下さいね」


「わかってるわかってる」


「私はこの後出かけるから、那月のことはお願いね涼介」


「ああ…」


俺達3人は一緒にリビングを出た後、姉ちゃんは玄関に、俺と那月さんは部屋に向かうのだった…。

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