恋に破れた勇者は『世界を変えよう』と魔法使いに引っ越しを勧められる

@asashinjam

勇者コモンズの新生活

1


魔王を討伐すれば一生安泰、 と思っていたのは俺の勘違いだった様だ。

そして愛が永遠だと言うのも。


「はぁ・・・」


俺こと、 勇者コモンズはカーマン王国の王都の外れの橋の上で項垂れていた。

魔王討伐後1年経っても定職に就けない俺に

聖女のプライムに愛想つかれて追い出されたのだった。


「一生守ると誓ったんだがなぁ・・・」


俺は溜息を吐いてプライムとペアで買った指輪を橋の下に投げ捨てた。


「これから如何するか・・・」


故郷に帰っても両親はもう居ない。

王都でこれから・・・


「おやおや、 かなり荒れてるなぁ」

「!!?」


現れたのは魔法使いモスマン。

妙なマスクを被った妙な魔法使い、 正直俺が苦手な部類の奴で

人助けに対して関心が無く冷淡とも言える奴だった。


「なんか失礼な回想してないか」


こうして心を読んで来るのも苦手な所だ。


「と言うか何してんだこんな所で? 夜中だぜ?」

「プライムに家を追い出された」

「何で?」

「定職に付けねぇからだよ」

「そりゃあ追い出されるわ」

「一生守るつもりだったんだがな」

「定職に就けない男が何言ってんだって話だよ

そりゃあ100年の恋も冷めるわ、 まぁそこまで深い恋でも無いだろうしな」

「あんまり馬鹿にすんな」

「所謂、 吊り橋効果って奴だ」

「吊り橋?」

「危機的状況だと恋に落ちるって奴さ」

「あぁ・・・そうだったかもな・・・」


俺はますます憂鬱になった。


「でも何で職に就けないんだ?」

「俺は集団行動とか苦手だし

旅をしていたからスケジュール通りの行動が苦手なんだよ」

「確かにお前寝坊とかするからなぁー

しっかし王様も人が悪い、 褒章を渡すなりなんなりすれば良いのに」

「褒章は貰ったが王都に家買ったら全部吹っ飛んだよ

もっと貰えば良かった」

「貰えば良かったってお前、 私が『褒章もっとくれ』って

王様に頼んだ時に慌てて止めた癖に」

「不敬だと思ったからだよ!!」

「ハッ!! 何が不敬だよ、 良く考えろ

『王様は勇者に碌に褒美を取らせない』って事が他の国に

広まって見ろ、 大恥も良い所だ

事実、 お前は生活が成り立ってないんだから

大問題だろ、 少なくともお前の人生では」

「っ・・・・・」


俺は顔を伏せた。


「まぁ、 良いさ、 だがな勇者よ

世界に納得がいかないのならばとるべき行動は一つだろう?」

「・・・・・」


こうして俺の事を勇者と呼んで来る時

決まって性質たちの悪い事を聞いて来るのだ。


「・・・・・取るべき行動って?」

「自分にとって都合の悪い世界ならば『世界を変えよう』」

「・・・・・悪いけどなモスマン、 俺はそんな大それた事を考えたくない

世界が俺にとって良くない物だからと世界をひっくり返したくない」

「・・・うん? 何の話だ?」

「国家転覆をやらかせ、 って言うんだろ?」

「いや!? 全然違うぞ!!? 引っ越そうぜって話だよ!!」

「はぁ!!?」


モスマンからの提案に目をぱちくりさせる俺。


「ひ、 引っ越しィ!?」

「あぁ、 世界とは自分の周囲であり

それを変えるには引っ越しが手っ取り早い」

「何か凄そうな事を言っているのに引っ越しって・・・」


スカシっぷりに溜息を吐く。


「と言うか世界転覆とか発想がヤバいわ、 何考えてるんだ」

「ほっとけ・・・だが引越しても職がねぇだろ」

「それならば大丈夫だ、 俺が昔世話になった店で人手を求めている」

「世話になった店? 魔法のなんたらの店か?」

「違う違う、 街の食堂だよ」

「食堂? 何で食堂? 裏では何かやってるとかか?

お前程の魔法使いを世話したと言う事は相当な・・・」

「下積みの頃に飯奢って貰ったりとか世話になったんだよ」

「・・・食堂で働けって? 勇者の仕事か? それ?」

「繁盛店だからさ、 体力ある奴に任せたいんだってさ」

「なんだか分かる様な分からない様な・・・それでその店は何処にあるんだ?」

「カオマン国のマガルースラムの『八仙飯店』って所だ」

「マガルースラムか・・・」


魔王討伐の旅でも見たが結構治安の悪い所である。

なるほど、 用心棒代わりにしようって魂胆か。


「分かった、 良いぜ」

「じゃあ行こうか、 荷物は?」

「この身一つだ」

「勇者の剣とかは?」

「この国の国庫に入ってるだろ、 俺にはもう必要ないからな」

「要らんの?」

「要らんだろ、 今の俺ならば魔物なんて素手で充分

そもそも魔王に特攻があるだけで剣としては普通だしな」

「それは頼もしいな」


と言う訳で俺とモスマンは王都を出発した。


「転移の羽でワープしないか?」

「転移の羽も魔王討伐したから流通禁止アイテムになってるよ」

「何でだよ、 便利じゃねぇか」

「流通の利権が壊れるからじゃないのか?」


こんな感じの雑談を熟しながら3日後

俺はマガルースラムの『八仙飯店』に辿り着くのだった。




2


『八仙飯店』はスラムから入り組んだ場所に有った。

小汚いがかなり大きい店で


「・・・・・」


俺は驚愕した。

店主の男が滅茶苦茶ガタイが良い。

元戦士か何かか?


「モスの字、 こいつが件の勇者か? ひょろっちぃぞ?」


店主のカトラリーがモスマンに尋ねる。


「まぁ魔王討伐したし大丈夫だろ」

「ふん、 ウチは9時から24時までやってる

休憩は15時から2時間。

休憩無しで労災やら保険に加入して手取り時給1500G

休みは水曜だけ、 住む部屋が無いなら賄い込みで1ヶ月10万Gで貸そう」

「部屋を借りても手取り40万以上? 何でそんなに給料高いんだ?」

「13時間働くんだからそれ位は出すよ」

「そうか、 仕事内容は?」

「ウェイター」

「そうか・・・」


用心棒も兼ねていると思ったが

このガタイを見ると用心棒は必要ないと分かる。


「分かった受けよう」



と安請け合いした過去の自分を打ん殴ってやりたい。

もうマジ無理、 荒くれ者と言う名が次々とやって来て

次々と注文して運んで行く。

飯も食わずに料理を運ぶのは辛い。

荒くれ者は暴れたりはせずに大人しく飯を喰っているが

正直に言うと打ん殴って追い払いたいと思えて来た。

多い日は千人近くやって来る。

しんどいなんてレベルじゃない。

料理運ぶのは俺ともう一人のウェイトレスだが

こっちのウェイトレスの方が仕事出来ているレベルだ。

俺より年下で華奢なのにスムーズに動いている。


「自信無くなりそう」

「最初から出来ると思う方が可笑しい」


モスマンが休憩時間にやって来て

一緒に炒飯をもぐもぐと食べながら雑談する。


「1週間で出来る方が可笑しいと私は思うね」

「だとしてもこれは辛い、 モンスターのスタンピートもここまで辛くないぞ」

「旅の最中にも言ったと思うけども魔王討伐なんて楽勝だ

魔王を討伐すれば終わりなんだから

市井の連中は終わりなき労働をしなければならない」

「・・・・・」


旅の最中にも言われたセリフだ。

当時は鼻で嗤ったが、 当時の俺を打ん殴りたくなる。

長時間労働はキツイ。

終わりが見えない。


「ここ時計も無いしよぉ・・・」

「鐘の音で時間は分かるだろ、 だが1週間持ったんだから

後は大丈夫だろう、 私はそろそろ街を去る」

「えぇー、 マジかよぉ・・・」

「こっちも仕事が立て込んでいるからな」

「仕事ぉ? 何かやってるのかよぉ?」

「何って・・・私はちゃんと職探ししながら旅してたからな

普通に就職してるぞ」

「そうなの!?」

「そうだよ、 小さなギルドの運営に携わっている」

「ギルドの運営か・・・確かにスキル色々持ってるからな」

「だな、 簿記に会計士に税理士、 色々勉強したよ」

「魔法使いとしてのスキルは!?」

「いやいや、 私が前に出たら後続が育たないだろう」

「勇者パーティメンバーなのに・・・」

「勇者パーティはとっくに解散しただろうが

過去の栄光に縋らずに生きて行こう」

「あぁ・・・」


俺は溜息を吐いた。




3


重労働だが3年も経てばそれなりに慣れて来ると言う物だった。

ウェイトレスのアサーティブとカトラリーさんとも

仲良くやって来ていると言う物だった。


「なぁ、 コモンズ、 お前そろそろ身を固めないか?」


仕事終わりの賄いを3人で食べながらカトラリーさんが尋ねた。


「身を固めるって、 相手が居ないッスよ」

「アサーティブが居るじゃないか」


アサーティブを見ると頬を赤らめている。

俺も顔が赤くなるのを感じた。


「お前等の中は周囲も公認だし結婚しちゃいな」

「そりゃあ・・・まぁ・・・」

「よ、 よろしくお願いします」


俺とアサーティブは結婚する事になった。

結婚式はマガルースラムの仲間達とモスマンを呼んで盛大にやった。


「久々だな」

「ホントだな」


二次会でモスマンと語らった。


「コモンズ、 インフラの結婚式は何で無かったんだ?」


インフラは俺の幼馴染で勇者パーティの弓使いだった。

元々は俺と同じ村の平民だったが

今は助けた国の一つで助けた貴族の養子らしい。


「結婚式やってたの!?」

「知らなかったのか?」

「あ・・・そう言えば住所教えてなかった・・・悪い事したな・・・

つーかインフラとイコールに連絡して無かった・・・しくじったな・・・」


新生活に忙しくて完全にインフラの事を忘れてた。


「インフラの結婚式って何時?」

「先月」

「あー・・・被っちゃったって事か・・・

悪い事しちゃったかな」

「だな、 私の金も御祝儀で飛んで行くし

とりあえずイコールには連絡は良いと思うがインフラには連絡してやれ」

「何で?」

「イコールがプライムの事狙ってるっぽいから

惚れた女の過去の男からの手紙とか嫌だろ」

「それもそうか・・・じゃあインフラに手紙書くかな」

「そうだな、 私が届けてこよう」

「任せたよ」



後日、 インフラが会いに来た。


「コモンズ!!」

「今修羅場ってるの見てわかんだろおおおおおおおおおおおおおおお!!

休憩時間に出直せえええええええええええええええええええ!!」

「あ、 ご、 ごめん・・・」


画して休憩時間に再度やって来た。

旦那と一緒に。


「どうも勇者コモンズ様、 私はインフラの夫のネットと申します

一応子爵やらせて頂いております」

「どうも、 勇者は止めて下さい、 今はウェイターやってますので」

「そうですか・・・嘗ての勇者がこんな場末、 あ、 いや失礼」


後ろからカトラリーさんの視線が突き刺さる。


「現役時代の私より鋭い目ね」

「調理場は戦場からな、 常在戦場と言う意味では

キャリアは俺達よりも遥かに上だ、 それよりも悪かったな

手紙も出さずに」

「ううん、 良いの、 それよりもプライムと破局したって言うのは本当なの?」


インフラが尋ねる。


「モスマンは何も言わなかったのか?」

「聞いたけど信用出来なくて・・・

君とプライムはあんなに想い合っていたじゃない」

「嫁の前で昔の女の話は止めてくれ」

「嫁、 ってその子?」

「アサーティブです、 どうも」


お辞儀をするアサーティブ。


「おぉ、 貴族の御嬢さんかな?」

「おべんちゃらは良いですよ」

「いやいや、 動きがスムーズだ、 貴族の子女でもこうはいかん」

「若い時からウェイトレスやってますから」

「ウェイトレス凄いな」


ネットが笑った。


「・・・何で連絡くれなかったの?」

「純粋に忘れてた」


インフラの問いに答えた。

そもそも筆まめな性格でもないし手紙をあまり書かないのだ。


「・・・・・まぁそうでしょうね、 イコールとプライムにも?」

「あぁ、 連絡して無い、 イコールがプライムの事好きだった話聞いたか?」

「うん? そうなの?」

「モスマンが言ってた」

「あの人がねぇ・・・これからは文通でもしましょう」

「旦那の前でそんな事言って良いのか?」

「友人との文通にやましい事なんて無いでしょう、 貴女もそう思うでしょう?」

「そう、 ですね」


ネットの問いにアサーティブが答える。


「しかし、 ここの環境はあまり良いとは言えないでしょ」


後ろからカトラリーさんの視線が突き刺さるのにネットが

空気を読まない言葉を吐く。


「ネットさん、 失礼では?」

「いやいや、 街の段差、 大混雑の食堂

今は良いかもしれませんが妊娠した時は如何しますか?」

「なるほど、 確かに不安ですね」

「実は私、 父から街を任されていましてこれから

妻の為に妊婦へのバリアフリーや産婦人科医の誘致を行い。

妊婦への負担を失くそうと言う施策を

行おうと思いまして、 勇者が居るのならば

街にもプラスになると思いますので是非とも移住のご検討を」

「それは「まぁ待て、 コモンズ」


カトラリーさんがぬい、 っと現れた。


「一応俺の店だからさ、 俺と話をするのが道理ってモンじゃねぇのか?」

「しかしながら、 決めるのはコモンズさ「いやいや、 別に良いんだよ移住は

娘の為にも良い医者は必要だ、 とは言え色々と話を決めておきたい」

「なるほど、 了解しました、 では詳しい話を詰めましょう」

「話が早くて助かる、 コモンズ、 表に臨時休業の看板出して置け」

「は、 はい」


てっきり反対するかと思ったカトラリーさんがあっさり受け入れた。

いや、 あっさり? でも無いらしい、 引っ越し費用とか

諸々の保障や引っ越し先の物件について等

かなりの長い時間の交渉が続いた。

俺には分からなかったが、 実は前々から再開発やら何やらで

人の入れ替わりが起きて、 立ち退きを要求されていたらしい。

カトラリーさんは良く客を見ているなと感心した。




4


ネットのお膝元に引っ越してから早6年。

移転した『八仙飯店』は嘗ての殺人的な混雑からは脱したが

それでも多くの人々がやって来る、 次第に俺も慣れて来た。

バイトも雇って人手も多くなった。


「おい、 コモンズ、 そろそろあがれ」

「分かりました義父とうさん」


今ではカトラリーさんの事を義父とうさんと呼んでいる。


「若旦那ー、 奥さんですかー」

「まぁな、 じゃあ行って来るわ!!」


最近は早上がりして妊娠して病院に居るアサーティブの元に向かった。

アサーティブは二度目の妊娠だが如何やら今度は双子の様だった。

こうして早上がりしてアサーティブに会いに行ってから

子供を幼稚園から迎えに行って義父とうさんと息子と食事を摂る

と言う風な生活を送っている。



「よっ」

「モスマン? 何してるんだ? そいつは?」


病院でモスマンに会った、 若い男と一緒である。


「ウチのギルドの若い奴、 つい最近嫁さんがおめでたらしくてな

良い産婦人科を探してここに行きついた」

「そうなのか、 それは良かったな」

「お前も嫁さんが入院してるんだって?」

「そうなんだよ、 今度は双子らしくて」

「そりゃあ大変そうだな、 貯えは大丈夫か?」

「問題無いよ」

「それは良いな、 あ、 そうだ、 ちょっと後で話したいんだが良いか?」

「あぁ、 良いぜ、 久々に義父とうさんにも会って行けよ」

「そうするか」


別れてから家にモスマンがやって来た。

モスマンは意外と子供の扱いに慣れているのか息子をあやして寝かしつけた後

俺と義父とうさんと3人で晩酌を始めた。


「叉焼がまたいい味が出ている」

「良いだろ? 店で出すのは勿体ない位の出来栄えだろ?」

「本当ですねぇ・・・」


軽くビールを飲むとモスマンが本題を話し始めた。


「実はカーマン王国で最近コモンズを探し始めている」

「俺を? 何で?」

「最近魔王復活の兆しがあるらしい」

「マジで?」

「大マジ、 来月中には復活するんじゃないかな?」

「気楽過ぎないか? 魔王復活って100年とか

もっとスパンがあるものかと思っていたぞ?」

「それがカーマン王国で色々不正やらが横行してて

魔王の復活を遅らせる儀式で使う宝玉やらなにやらが横領されていたり

聖女プライムが魔王の魂の浄化の儀をサボってたり

色々な要因が重なっているらしい」

「何やってるんだあいつ等・・・」

「と言う訳で3ヶ月くらい

カトラリーの大将と含めた家族で旅行にでも行って来ないか?

アサーティブが出産した後に療養の名目で良い温泉地があるんだ

ヴェレーナホーフって言う各国の貴族や教会のお偉いさんも湯治に訪れる」

「え、 俺が魔王討伐に行かなくて良いのか?」

「別に行く必要無いだろ、 色んなギルドが魔王討伐に向けて動いている」

「勇者無しで行けるのか?」

「新しい勇者は既に誕生している、 と言うのが定説だが

カーマン王国が勇者への褒章をケチったから名乗り出たがらないんだよ

この事を含めてカーマン王国は国際的にヤバい状況になっている

とは言え問題無いだろう、 魔王は復活するだろうが

圧倒的に手下が不足している、 色んなギルドや各国の騎士団が応対すれば

問題無く対処出来るだろうよ」

「なら心配無いが・・・」

「問題は、 嘗ての影響力を取り戻そうとして

カーマン王国がお前を拉致らないかって所だ」

「流石にそんな無茶は・・・」

「最近のカーマンはヤバいぞ

権力争い、 いや責任の押し付け合いが激化している

魔王復活と勇者の酷使により勇者の名乗りをさせにくくした

この責任は国が消し飛ぶレベルだし

責任者は首を斬られる、 物理的に」

「マジか・・・」


俺は絶句した、 プライムってそんなに無責任な奴だったのか?


「兎も角、 お前の、 いやカトラリーの大将、 は大丈夫として

アサーティブや子供達が誘拐される可能性も有るから

政治的に安全な所に行って来てくれ

勿論金は此方で出す」

「タダで旅行に行けるのならば行かない手はないな」

「そうですか、 では行きましょうか義父とうさん」


こうして俺達は家族水入らずで旅行する事になったのだった。




5


ヴェレーナホーフで俺は魔王討伐とカーマン王国の崩壊と

プライムが『八仙飯店』で暴れて捕まった事を知った。


「これで全部問題事は解決か?」


部屋で義父とうさんが笑いながら尋ねた。


「イコールが行方不明なのが気になりますが」

「それなら朗報だ、 イコールはここに来たらしいが

政治的に色んな大物が集まるここで武装して来たから

捕まってしまったらしい」

「・・・・・」


俺は溜息を吐いた。


「勇者パーティの2人が引退、 2人が逮捕か、 世知辛い」

「おいおい、 今のお前は勇者じゃなくてアサーティブの妻で

三児の父だろう?」

「そうでした」


くく、 と俺は笑った。


「いずれにせよ、 これで肩の荷が下りたと言う所か」

「そうですね」


俺は義父とうさんから酒のグラスを受取って飲んだ。

モスマンのお陰で良い骨休めが出来た。




旅行中に『八仙飯店』でプライムが暴れて修繕が終わった後に

やっと営業を再開した、 今日も子供と嫁と義父の為に働こう。


「うん?」


俺は落ちている指輪を見つけた。

何処かで見た事がある様な気もするが・・・


「如何した?」

「落とし物の指輪です」

「じゃあ落とし物入れに置いておけ」

「はーい」


持ち主が現れなかったので指輪は警邏に預けてそれっきりだった。

さて今日も一日頑張るか!!

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