第2話 一年中サンタ LEVEL2

凍える冬、いつものようにパンパンの袋を担いで放り投げる。

半透明の袋から、真新しいおもちゃが見えた。


「はあ、これでやっと最後か。」


どうやら彼は少し疲れているようだ。 

体や服には焦げと異臭が染み付いていた。



作業を終え、座席に腰を下ろした彼の正体は




サンタクロース、、、ではなくゴミ収集員。


彼はゴミ収集車の運転席で一息ついた。


「子供の頃は、年に一回もらえるクリスマスプレゼントがうれしかったなぁ。サンタさんからもらったあのラジコンはまだ実家にあるだろうか。あの頃はまだ夢と希望に溢れていたなぁ。あーあ、今の仕事は他人のゴミを回収すること。これってまるでサンタさんの真逆じゃないか。」


そうブツブツと独り言を言うと、寒さで赤くなった鼻をさすって、ごみ処理場へと車を走らせた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る