第10話 意思を持つ者たち
革命軍の人間メンバーと話した僕は、スケイルズの部屋に入った。そこには、法律の本がズラーっと棚に並んでいて、まるで小さな図書室のようだった。
「お、どうだったアイツ等は?仲良くなれそうか?」とスケイルズは笑って聞いてきた。僕の疲れた顔を見て分かってるはずでしょ...
「まぁ...面白い人達ではありますけど、名前とかは言ってなかったかので詳しいことは分からないです。」と僕が言うと、彼は本を閉じて言った。
「そうか、なら俺がアイツ等について教えておくよ。」と言うと、引き出しのファイルからいくつか資料を出した。
まず、口調がおかしいあの女な。あいつはレオン・パーソン、一応は男だ。『百化の道化師』っていう異名を持ってた役者だったんだが、ある事件で社会的な立場を失って役者を引退してしまったんだ。あいつが今、女の姿なのは「
次にアホ毛の男、あいつの名前は
そしてあの義手の男、あいつは
...と話しを聞いた僕は、そのまま質問した。「じゃああの女の子は?一体何者なんですか?」しかしスケイルズはしかめた顔をした。
「あの子の名前は『ヒキ』。...それだけだ。」僕は唖然とした。
「えっ...?嘘でしょ、じゃああの子のあの雲は何なんですか?」と聞くと、彼は両手を上げた。
「さっぱりだ。本名不明、年齢不詳、能力はおろか、生まれた家の情報すら見つからないんだ。ただ、魔力がほぼ全くと言っていいほどないのにも関わらずあの何らかの能力の雲が永久的に出ていること。あの子と初めて出会った時が謎の原因で大破したC地区の政府の研究所跡地に一人で居た時だったこと。そこの研究所で何らかの研究をしていた証拠があったことから、少なくともただの一般人じゃないって事だけは分かってるぜ。」とほぼ諦めのような声で言った。
「一応ここの村でかくまらせてもらってはいるが、早いとこ親を見つけねぇとな...」と言って頭をかいた。
「まぁ、ここにいる連中は皆、何かしらの出来事があって社会からもれた落ちこぼれたちだ。だからそれぞれに、社会に対しての固い意思があるんだ。...お前もそうだろ?」とスケイルズは僕に目線を向けた。
「そりゃもちろん!あの人達みたいに強くはないけどね...。」僕は少しうろたえながら言った。
「...それは何だが、その右腕、前にテディの隠れ病院に居た時に比べて随分と細くなってないか?元のお前の腕とさほど変わらないぐらいになってるな。」と指を指して言われた。考えると、この腕も一体誰の体からとれたモノなのかあの人に教えてもらわなかった。「在庫が余ってた。」とは言ってたけど...僕は少しの不安を覚えた。
「おーい二人共、ケープがそいつを歓迎するためのパーティーを開いてくれたぞ。早く来ないと終わっちゃうぜ。」と戸を開けてレオンが言った。
「そうか、そんじゃ行くか。」スケイルズも言われたように部屋を出ていった。
僕の平和の影への復讐劇は、この日から新たなステージで一歩を踏み出したのだった...
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