雨降る時、アイを知る

秋本 葉月

第一話 試作品四百五十六番

試作品四百五十六番


これが私の名前らしい


そして私は、とある研究所?で育てられた


どうやら私には生まれた時から、親?というものがおらず、捨て子なのをいいことに、ここで実験をされているらしい


【感情のない子を作る】


これが、この研究所の目的……らしい


私は今まで、真っ白の部屋に、ずっと居て

お腹が空いたら、ご飯が出て、それを食べては、また、ご飯が出るまで待つ日々を過ごしていた


外の世界のことなんて、一切教えられてないし、変な知識?も入れられていない


本当に、生まれてからずっと、寝ては食べ、寝ては食べを繰り返している。


そんな研究所だが、昨夜、私は捨てられた。

実験をしていた男曰く、飽きたらしい。


そして私は今、人が沢山通っているところに、ぽつりと立っている。


さっきからずっと空から降ってくる水に濡らされて、体はびしょ濡れになりながら。


「君、大丈夫?」


自分の手がブルブルと震えている。


これは一体どういう感情なのかな。


「おーい?聞こえてるー?」


さっきから、誰かが呼んでる気がする。


「君だって」


目の前に立っていた人間は、私の肩を掴み揺さぶってきた。


「君、どうしてこんなところにいるの?家はどこ?」


「......家?」


家ってなんだろう。研究所とは違うのかな。


「......多分......家は無い......」


「え、家がないってどういうこと?ホームレスなの?」


ホームレスってなんだろう。さっきから目の前の人間はよく分からない言葉を発している。


「まぁ、いいや、とりあえずここじゃ風邪引いちゃうから、俺の家に来るといいよ」


......風邪ってなんだろう......。


そんなことを考える間に、人間は私の手を取り、何処かへ歩いて行く。


「大丈夫、俺の家、本当にすぐそこだから、すぐ着くよ」


知らない言葉を急に浴びせられ、脳が少し混乱しているが、とりあえず人間の言うことを聞くことにした。


人間の言う通り、私がいた位置から、この人間の家?までの距離?は近く。すぐ家に着いた。


そして、人間は扉の前に立ち、何かを取り出した後、扉の前に取り出したものを向け、回した。


ガチャと言う効果音と共に、その扉は開かれた。

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雨降る時、アイを知る 秋本 葉月 @akiiiiiiiih

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