あいしてる
明鏡止水
第1話
生まれたばかりの姪っ子が、やさぐれたわたしにほうれん草をくれる。
……愛してる。
フリーターばかりで、学生に馬鹿にされて帰った日のわたしをみて、真っ新な目でわたしをみてわらってくれる。
……愛してる。
「きみのこと、ずっとずっと好きだよ」
魔法の言葉。
どこかのドラマのセリフ。
キミのこと、ずっとずっと好きだよ。
だからね、おばちゃんは、将来離れなくちゃいけない。
統合失調症のおばちゃんは、誰かに見てもらわないとあぶないから。
あの日。
わたしにほうれん草をくれて、ありがとう。
わたしの経歴を、何の色眼鏡で見ることもなく、真っ新な目で見てくれてありがとう。
おばちゃん、やっぱり若い子と話すの好きだ。
話題がもたないけれど。
ありがとね。
ありがとね。
死にたくなること、何度もあったよ。
自分にも子供がいれば頑張れるのか、って思えたこと何度もあったよ。
でも、お前たちがいい子なのは。お前たち自身と、お父さん、お母さん、祖父母のおかげだね。
わたしに、役割をありがとう。
さようなら、おばちゃんは、もう、心の底からお前たちの不幸を願ってしまうくらい、お前たちが好きだから。
こころはもう、そこにはないんだ。
お前たちは、大きくなったからね。
あいしてる 明鏡止水 @miuraharuma30
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