岩崎家短編集(近況リク企画品など)
御片深奨
第1話 協会ある朝の光景(23.10.14リク1)
ある朝、僕が出勤するとスタッフブースが少し騒がしかった。
[おはようございます。どうしたんですか?]
「あら、いっちゃんおはよう。今日は元の姿なのね。それがねぇ…職員出入り口付近にこれが置かれてたのよ」
西脇さんがそう言いながら少し大きめのダンボール箱を見せてくれた。
[箱?]
「中身よ。中身。生まれたての子犬と子猫。各3匹…流石にすぐさま保健所に処分依頼とかはさすがにねぇ…今引取先を捜しているのよ」
箱の中では子犬と子猫が身を寄せ合って眠っていた。
[ミューミュー可愛い…]
寝言なのかうにゅうにゅみゅーみゅー言っている。
「ああ、そうだ。いっちゃん、ミルク与えてくれないかしら」
[えっ?いいんですか?]
「今ミルク取りに行ってるから…たぶんいっちゃんがあげた方がこの子達も怯えないかなぁってね」
[まあ、今眠っていますが…まさかスキルを?]
「…ええ。もの凄く怯えられてね…課長が」
全員が一斉にそれぞれ明後日の方向を向く。
あっ…(察し
「子犬や子猫用のミルクは売り切れていた。代わりに無乳糖乳を…岩崎。おはよう」
[課長おはようございます]
課長から買い物袋を受け取る。
「哺乳瓶などはないからガーゼで湿らせて与えてくれ」
[分かりました]
空間を固定し、無乳糖乳をその中に流し込む。
「ちょ!?」
周りが慌てたけど、空中に留まるミルクに「ぉおー」と喜んでくれた。
さて、少し冷たいから温めた方が良いかな…
空間の形を哺乳瓶にして子猫たちの様子を見る。
相変わらずにゅうにゅうみゅーみゅー言っているけど、あ。目が覚めたみたいだ。
起きてキョロキョロし始めた。
途端に音量が二、三段階上がった。
お腹すいたのかな?ミルクを近づけると吸い口を模した部分を勢いよく咥える。
そして他の子猫、子犬たちもワラワラと集まってきた。
吸い口部分を作り、それぞれの側へと伸ばす。
一生懸命ミルクを飲んでいる。
[みゅう?ほぉら、みゅう…たくさん飲んでね?]
「…いっちゃんが可愛すぎるわ…」
「姫様…男の方が破壊力の高い和みシーンって何なんですか…」
「にっこにこの岩崎がみゅーみゅー言うのって、控えめに言って反則だよな」
「…課長。そのボイスレコーダーは?」
「里親にデータ提供も「あ、私出張とかないし、ペットOKの「私実家住み」」」
[あ、このお姉ちゃんが君の里親なってくれるって。宜しくミュウ!]
「あっ…私、この子養う…全力で養うぅ」
[いや、僕ではなくこの子ですよね?]
「はっはっは…
「ひぃっ!?」
[課長も落ち着いて…この子達が怯えてしまいますワン?]
「にゃんにゃんゆーちゃんが尊すぎて辛い…」
「生きててありがとう…存在してくれてありがとう…っ!」
「気持ち分からなくもないけど、隣で鼻血出しながらそんな表情されてたら映像楽しめないんだけど…」
「ああっ!飲むぅ!はち切れるまで飲むぅ!」
「こーいうのを厄介オタクって言うんだっけ?分からないけど」
「あっ…私が、私がゆーくんをもっと上手に甘やかして養うんだっ!」
「でも現状」
「やはり自世界から一気に物資を調達して…」
「止めて!マジで止めて!世界のバランス崩れちゃいますから!」
「ここだけでも!ここだけでも!」
「そちらの世界は癒やしようのない戦闘世界でしょうが!」
「じゃあ私が」
「樹神殿はこれ以上ダメです!あんなチートアイテム持ち込んだ時点で色々アウトなんですから!」
「ああなったのはだいたいゆーちゃんのせい!」
「「………確かに」」
「あっ!ゆーちゃんが里親第一号に渡した!寂しそうな笑顔…」
「トウトイ…トウトイヨォ…」
「…世界は大変な事になっているのに、平和だなぁ…」
「まともなこと言っている雰囲気出しているのに鼻血は…」
「彼が可愛すぎるのが悪い!」
「「確かに!」」
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