『星の織り手』
シュン
第1話
第1話: 星の招待
セリアは、夜空を見上げるのが好きな普通の少女だった。毎晩、ベッドの窓から星々がきらきらと輝く空を眺めていた。ある日、セリアの手元に美しい羽根つきの封筒が届く。封筒を開けると、中からは煌びやかな金の文字で書かれた招待状が現れた。
「天空の城での舞踏会へ、セリア様をここに招待いたします」
セリアは驚きのあまり招待状を何度も読み返した。この舞踏会は、一度10年に一度の特別な夜に開かれるという伝説の舞踏会だ。そして、この舞踏会の夜にだけ現れるという「星の織り手」という存在がいるとも言われていた。
セリアは母にこの招待状を見せた。母は驚きの表情を見せながら、昔の思い出を語り始めた。「私も若かった頃、その招待を受けたのよ。でも、参加する勇気がなくて…」
セリアは母の話を聞きながら、自分は絶対に舞踏会に参加すると心に決めた。そして、天空の城への道のりや準備について調べ始めるのだった。
セリアの家は、昔から布地や刺繍で有名な小さな町にあった。この町では、特別な日に美しいドレスを纏う習慣があった。舞踏会のためのドレス選びは、セリアにとって最も重要なことの一つだった。
町の中心にある「ルナ布地店」は、世代を超えて伝わる特別な技術で、星のように輝く布を作ることができると言われていた。セリアはそこを訪れることに決めた。
店に入ると、店内にはさまざまな色と形の布が展示されていた。中でも、一際目を引く青色の布があった。それは、まるで夜空のように深く、星々がちりばめられているかのように輝いていた。
「それは、月と星の光を閉じ込めた布です」と、店の老主人が微笑みながら話しかけてきた。「一晩中、星空の下で布を織る秘密の技法で作られています。」
セリアはその布に心を奪われ、これを使ってドレスを作ることを決意した。しかし、そんな特別な布は高価で、セリアには手が届かないものだった。
老主人はセリアの願いを察し、「君のために特別な取引をしよう」と提案した。「私が求めるのはお金ではない。君の純粋な心と、星への憧れを布に込めてくれれば、それで十分だ。」
セリアは感謝の気持ちでいっぱいになり、店を後にした。そして、その布で作られたドレスは、まるで星空そのもののように輝き、セリアを天空の城へと導く魔法のドレスとなった。
セリアの心の中は、今、舞踏会での冒険への期待と興奮で満ちていた。
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