第2話 俳優…終わらない宴
三浦京介は中堅俳優と言われて久しい55歳だ。
主役はあまりやらないものの、主役に絡む準主役をやったり、お茶の間では知れた顔だし、映画では主役を食っちゃうような脇役を名演している55歳だ。
京介の個人事務所にプロダクション社長の中村竜也が美少女を連れてやってきた。
京介は一目見てその少女を気に入った。
中村にアー写を求めたが、まだアー写も出来上がっていない入りたてだと言われた。
京介が一目で気に入ったエキゾチックな少女の名前はメイといって中学を出てJKになりたての16歳だということだった。
ちょうど明日から新しい映画の撮影で、地方ロケだ。京介は、中村にメイを映画の地方ロケに連れていく打診をした。
有力者が俳優を連れて撮影にいくと、映画にでられる可能性が高いことなど熟知している中村は、二つ返事で引き受けたが…
京介に耳打ちをして話をする。
「わかったよ、もちろんだよ。」
中村はその威勢のいい言葉に少し不安を感じたもののメリットからしてもメイを行かせるべきだと思った。
(大切な約束だからわかってくれるだろう、村田組〈村田監督を中心とする映画グループ〉で多くの映画を作ってきた仲だ。決してやぶるような事はないだろう)
中村は数年来の付き合いの京介を信用した。メイは嬉しそうにキラキラの笑顔で中村について京介の事務所を出ていった。憧れの映画に出られるかもしれない、少女の胸は高鳴っているに違いない。
京介は、義理で出演を引き受けた田舎での地方ロケだったので気が進まなかったがメイの出現で明日からの撮影が楽しみになった。
村田監督の元で長い間助監督をしていた下地の監督デビュー作となる映画「山が呼んでいる」の撮影は、スタッフをうまく動かせないのかスタッフの力不足なのか順調には進まず、初日から3日ほど撮影は深夜まで続き、京介はなかなかメイを呼べずにいた。
5日を過ぎた頃から落ち着いたのでメイを現場に呼んだ。
やってきたメイは、全てが目新しいものばからのようで、落ち着いて見えるもののあちらこちらに気をとられているようだった。
そして、ヒロインの女性の撮影シーンに目を輝かせている。
「君もじきにあんな感じになれるさ」
京介が言うと
「まだまだとんでもないです。」
そう言う横顔には、
(私も彼女のようになれる)
という自信があるようにも感じられる。
「今日は終わるの早いから、演技の練習でもするか」
「はい」
今まで自分の前に現れた俳優を目指す女性が100%「はい」と答える質問だ。
部屋の中の大きなソファーに向かい合って座って台本を読ませてみる。
「なんか、もうちょっと感情をこめてごらん」
「はい。「私のことずっと騙していたのね、なんてひどい!」
「そうだね、さっきよりは良くなったけど点数で言ったら40点かな。」
「えっ…」
「とりあえず次いってみようか」
「はい。「私は女優なの。自分の人生なんかいらない、舞台の上でずっと演じていたいの、スポットライトをあびて…」
メイのセリフはまるで独り言。最近の若い子の中には、演じるというよりは語りかけるように台本を読む子が少なくない。
別に大げさな演技が良いとも思わないので、それが心に響くものなら良いと思うのだが、それらの多くが心を動かさずに目の前を素通りしていく。
「んー、ダメだね。なっちゃいない。」
ちょっと厳しい口調で台本を前のテーブルに放るように置いた。
まだ続けようとするメイを制した。
メイはまるで泣き出さんばかりの表情だ。
「すみません、緊張しています。」
消え入るばかりの声でそう言った。
「今日はもう終わりだ。リラックスしよう」京介は、立ち上がって今にも泣き出しそうなメイの横へ移動して彼女の上半身をギュッと抱きしめた。
メイの身体が固くなったような気がする。
京介は思い切り抱きしめて、メイの顔を見ようとしたがメイは下を向いてしまってその表情は見えない。
身体が小刻みに震えている。京介はそのままソファーにメイを押し倒した。
彼女は目にうっすら涙を浮かべたが、怖さの為か反抗はしなかった。身体を開きはしなかったがまるで従順だった。
京介は
「大丈夫、痛くしないから」
と言うと、メイの目から涙の玉がコロンとばかりに転がった。
メイは堪忍したのか、怖さのため動けないのか目をこれ以上固く閉じれないというほど固く閉じた。
京介は多くの女を抱いてきたが、これほどまでに無抵抗でそして反応しない女は初めてだった。
セックス・ムービー・マネー @NIJIKAK08
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