第13話

「結構ここも発展してるな」


「うむ、特に異変はないな。 よかった......」


 ディンが安心したようにいった。


 町を歩く、多くの建物が整然とたっており、普通の人間も多くいた。 


「そういえば出かける前に、ネメイオが本当に最低限の出資でいいのか、と聞いてきていたろ」


 そうディンが聞いてきた。


「ああ、オプションの話だろ。 でも、もういやだ! これ以上金はかけん! もう金なんてないからな!」


「そうだな...... 飛行船がかなり高くて金がなくなった...... しかたない。 依頼を受けるか」


 そうディンはうなづいた。


「ああ、冒険者ギルドはここにもあるからな。 一度依頼をうけて、金を作ろう」


 冒険者ギルドは世界に点在してある。 どこでもモンスターの存在があるからだとネメイオから聞いた。


「おっ、あった! あった!」


 大きな建物があり、冒険者ギルドと看板がでている。 そこには武具をまとう亜人たちが大勢いた。


 建物にはいり、カウンターに向かう。 猫耳の受付嬢が対応してくれた、


「いらっしゃいませ。 当ギルドにどうのようなご用件でしょうか」


「えっと、冒険者なんですけど」


 そういって冒険者カードを渡した。 それを確認して驚いて俺たちの顔を交互をみる。


「ま、まさか、サキミさまとディンさまですか!?」


「ん? 知ってるの?」


「ふむ? どういうことだ?」


「ええ、もちろん! 強大なモンスターを二人で倒す。 【ダブルバスター】、西の国の有名な冒険者ですもの!」


「おい、あれが噂のダブルバスター、サキミとディンのコンビらしいぞ!」


「えっ!? まだ子供じゃない!?」 


「ストーンゴーレムやリトルデーモン、ゲイザーも倒した凄腕の冒険者らしいな」


「たった二人で...... 都市伝説かと思ってたぜ」


 周囲の冒険者がそういうのを聞いて、ディンは鼻をピクピクさせている。


(調子にのってんな......)


「ふっふっふ、まあ当然よな」


「で、今日はどのようなご依頼を......」


「そうだな。 高額なものをくれ」


 ディンがそう要求した。


(やっぱ調子にのってんな......)


「それでしたら、こちらジャイアントなどどうでしょう。 半年ほど受けるものがいない依頼です」


 そうおずおずと受付嬢が依頼書を出した。


(巨人か...... 力が強いなら俺の魔法が効果ありそう)


「じゃあ、それで......」


「まて!」


 ディンがとめる。


「なんだよ?」


「高額依頼をすべてよこすのだ」


「えっ? す、全てですか?」


 受付嬢は困惑している。


「うむ、いちいちここにきて受け直すのは面倒だ。 一括でもらっておく」


「はぁ、まあかまいませんが...... あまりに危険では」


「フフッ、余たちだぞ」


「そうですね! わかりました! ではこちらが高額依頼、危険度Sの依頼となります!」

 

 そういうと依頼の束を渡してもらった。


 

「本当にだいじょうぶか? こんなに受けて、旅する金だけでいいんだぞ」


「甘い! 今までどんな目にあってきた! 報酬を受けても受けてもとられる! 帰ったら高額な依頼はないのだぞ! 稼げるときに稼いでおけばよかろう!」


(まあ、もうさすがになにもないと思うが、こいつも気にしてたのか)


「王様に会いに行くのはどうすんだ?」


「まあ、終わってからでもよかろう。 そもそも余のことすら知らんかもしれんし......」


「いや、千年前とはいえ、さすが文献とか歴史書に残ってんだろ」


「そうかな......」


 自信なさげにそう答えた。


(なんだ? こいつ、やはり魔王は嘘か、まあどっちてもいいが)


 

「ここがジャイアントがいるアンスロー山か」


 険しい山道を歩きました。


「うむ、しかしここは昔、そんな強いモンスターはおらなんだがな」


「それより巨人は魔族じゃないのか、一応亜人だろ」


「いいや、巨人はかつての神が落ちぶれた姿だという伝承があるが、知能が低く会話もできん、あばれ回るだけのモンスターだ」


「神とかいるのかよ」 


「ああ、サキミとの契約も神に関わる魔法だぞ。 ゆえに強制力が発生する」


「あの契約ってそういうことなのか...... でディンは神とあったことはあるのか?」


「ない。 みたこともない。 しかしこのような常識を遥かにこえる力は神としか考えられまい。 かつて勇者も神の力を得て余に戦いを挑んだのだ」  


「ほう、まあ俺には関係ないか...... ん?」


「あそこだな。 巨大な魔力を感じる」


 ズオオオオオ......


 地響きが聞こえ、地面がゆれる。


「うおっ! あれかでかい!!」


 大木すら胸にまで届かないほどの大きさの、巨大な一つ目のモンスターが、木々をへし折りながらこちらに歩いてくる。


「ジャイアントだ! 余の魔法を使うか」


「いらん! フェアネスソウル!」


 ジャイアントは膝をつく、 俺は飛びあがると、木を蹴りジャイアントの顔の辺りまで飛ぶと顔面を殴り付けた。


「ガオオオオ!!」


 ジャイアントがけたたましい音をたて、木々をなぎ倒しながら地面に倒れる。 土ぼこりが空まで上がる。


「やったか......」


「まだだぞサキミ!!」


 ディンの声で見ると、土煙のなかから影がうつる。


 その瞬間、俺は空中を飛び木々をへし折って地面に落ちた。


「ぐはっ!!」


「大丈夫かサキミ!!」


 ディンが駆け寄ってくる。


「ああ、なんとかな...... さ、さすが元神...... ほぼ半分の力でこれかよ」

 

「余が魔法で時間を稼ぐゆえ、お主は体勢を立て直せ」


「いや、まだいける! 耐久力もジャイアントからえた」


 剣を抜き、走り出した。


 ジャイアントが地面をさらうように腕をふる。


 ズアアアアアア!!!


 飛んでくる木々や岩の破片をかわして飛び上がると、ジャイアントの膝をけあがり顔の近くまで飛び上がる。 


「おりゃ!!!」


 そう剣をないで首を斬りつけた。


「ガオオオオ!!!!」


 剣は途中で折れたが、ジャイアントは轟音を響かせ倒れた。

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