第13話 なぜか合鍵を持っている件

「ふう……今日はいろいろあったな」


 宮本さんもとい水晶マリルが転校してくるし、


 幼馴染の冬乃がやたら俺の視界に入ってくるし、


 奇妙なことがたくさん起こる……


 俺が家のドアを開けると、


「おかえりなさいませ! 春人くん!」

「え??」


 宮本さんが……なぜか玄関に。


 エプロンをつけて、正座している。


「ごはんにしますか? お風呂にしますか? それとも――あたし?」

「…………いや、いやいやいや、どうして俺の家に?」

「えへへ……どうしてでしょう? きっと普段の行いが良いから、神様が合鍵をくれたんですね」

「そんなわけないだろ……」

「実は……助けてくれたお礼に、春人くんのお世話をしたいと言ったら、合鍵を貸してくれました」


 何やってんだよ……母さん。


 とりあえず俺は、家に上がった。


「ていうか、宮本さん、今日は配信あるんじゃ?」

「今日はお休みしました。だって……あたしと春人くんが隣同士になった記念だから」


 そんなことで休んで大丈夫なのか?


「お昼もお弁当作ってくれたし……そんな夕飯まで」

「あたしがしたいだけなんです。春人くんは何も気にしないでください」


 人気ライバーの宮本さんが、俺の家にいる。

 しかも、すごくかわいい。

 気にしないのは、どうやっても無理だ。


「……じゃあ、部活で汗かいたから、先に風呂入るよ」


 俺はサッカー部に入っていた。


「わかりました♡ お風呂の用意、してきますね!」


 ★


「なんか、ややこしいことになってきたな……」


 風呂場で俺は頭を抱えていた。


 いろいろしてくれるのは嬉しいけど、同じ事務所のライバー同士だし、クラスメイトだし。


 こんなことがバレたら炎上間違いなしだ。


 ――ガラガラ!


「春人くん。背中、流しますね」

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