第11話 春人くんの隣はあたしのもの 亜美視点
――亜美が転校してくる前の話。
「秋月高校へ、転校の手続きをしなくちゃ……!」
秋月高校――春人くんが通う学校です。
「もしもし、社長ですか?」
あたしは所属事務所【ごじろくじ】の社長、
「あら、マリルちゃんから電話なんて珍しいわね」
「実は……社長にお願いがありまして」
「マリルちゃんのお願いなら、なんでも聞くわ」
「あたし、転校したいんです」
「え? 桜蘭女子学園をやめたいの?」
桜蘭女子学園は、あたしが通っている高校です。
「桜蘭女子学園をやめるなんて、勿体ないわよ。あそこに通っていれば、将来は約束されているのに……」
勿体ない……普通はそう思うかもしれません。
桜蘭女子学園はいわゆるお嬢様学校で、都内のエリート高校です。
あたしの親代わり、香月社長に入れてもらった学校。
それをやめるなんて、とんでもない悪い子です。
でも、でも……あたしは……
「どうしても……隣で守ってあげたい人がいるんです。あたしの命を救ってくれた人で、あたしに……生きる希望をくれた人がいて」
「もしかして、その人って……春人くんのこと?」
「つっ……!」
「ふふふ。やっぱりね。いいわ。あたしはマリルちゃんが転校したいなら応援する」
「……ごめんなさい!」
「春人くんは、マリルちゃんにとって大切な人なのね。でも、ライバー同士だから交際は禁止だからね」
「はい……わかっています」
「今日も配信がんばってね」
あたしは電話を切りました。
「香月社長、ごめんなさい……でも、あたしは、春人くんの隣にいたいから」
ピコン!
つぶやきアプリYの、特定班から連絡が来ました。
「へえ、席替えするんですね」
あたし以外の女の子が、春人の隣にいるなんて許せません。
「クラスに、協力者を作りましょう」
席替えのくじを作る学級委員を買収して……
「ずっと隣で、守ってあげますからね」
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幼馴染に振られた俺、ダンジョンで配信中の姫騎士をオークから助けてバズる。大手ダンチューバー事務所からデビューが決まったけど、今更戻りたいと言われても無理です〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330664888832367
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