第45話 「グループポイント」の結果
《暁斗視点》
「これでいいだろ」
俺は、ダンジョンの外――裏山の森の中で、雨に濡れた土の臭いをかぎながら、満足して呟いた。
ポイントバトルが始まってから現在まで、俺は裏山でとあることをしていた。
ポイントバトルの終了まで、残り10分。
俺は早々と作業を切り上げ、集合場所となっているダンジョン入り口付近の広場へと赴く。
他のクラスメイト達は、時間ギリギリまでダンジョンに入り浸るつもりのようだ。
まだ誰1人として、戻ってきていなかった。
俺は、受付のお姉さんに「よろしくお願いします」と言って、あるものを手渡したのだった。
――。
やがて、広場に続々とクラスメイト達が現れた。
彼等はわいわいと騒ぎながら、受付に狩った獲物や鉱石を提出してゆく。
「見ろよこれ!」
「うわすっげ! 蒼脈鉱石じゃん! どこにあったん?」
「えっへへ。内緒」
「ズリィ。教えろよ!」
などと騒いでいる。
そんな中、マウンテン三兄弟達が帰って来た。
「なんだ、お前等それっぽっちしか稼いでないのか?」
開口一番、戦闘の力哉が不遜な態度で一男子生徒に向かっていった。
「そういうお前はどうなんだよ」
当然のようにムッとした男子生徒が、力哉に問いかける。
それに対し、力哉はニタッと笑った。
あ、この顔はわざと男子生徒を誘導したな?
力哉は厚い胸板を張り、「どうよ!」とでも言うように自身のかごを見せつける。
「うわぁ。スゲェや。めっちゃモンスター狩ったんだな」
「へへ。こんなの俺にとっちゃ、朝飯前だ」
男子生徒が目を丸くすると、謀ったかのように力哉が言う。
その声に導かれて、周りのクラスメイトも「なんだなんだ?」というように力哉の方を見た。
そして、力哉のかごに山盛りに乗った鉱石やらモンスターの持つアイテムを見て、誰もが感嘆の息を漏らすのだ。
クラスメイト達の間でざわめきが渦を巻き、注目を集めたところで――待ってましたとばかりに、力哉は「実はこれだけじゃねぇんだわ!」と叫んだ。
力哉がポケットから取り出したのは、卵だ。
あれは確か――ヤマオドガラスの卵だったか。
Dランクのモンスターだが、かなり貴重なものだ。確か、一つで「5000円」になるから……あれだけで5000ポイントだな。
滅多にお目にかかれないモンスターの産んだ卵だ。
それにヤマオドガラスって、攻撃力はほぼないけど、厄介なモンスターなんだよね。
卵を持っているということは、つまりヤマオドガラスを倒したということだ。
正直、力哉をみくびっていた。
少しだけ評価を上方修正してやらねばなるまい。
「これもうお前が優勝だろ! 力哉!」と沸き立つクラスメイト達を横目に、俺は集計の時間を待つのだった。
――。
楽しかった時間は瞬く間に過ぎ去り、全員揃ったクラスメイト達の前に出て、担任の女性教師が朗々と話している。
「――ええ。皆さんお疲れ様でした。それではいよいよ、「ポイントバトル」集計結果の発表に移ります」
そうして始まった結果発表。
まずは「グループポイント」の発表だったが、誰しも力哉のいるDグループの勝利を疑っていない。
だからこそ――発表された結果に、誰もが唖然としていた。
1位 Cグループ 16800ポイント
2位 Dグループ 12500ポイント
3位 Aグループ 8250ポイント
4位 Bグループ 7900ポイント
ざわつくクラスメイト達。
力哉も怪訝そうに眉をひそめ、この結果に納得いっていない様子だ。
そして――「個別ポイント」の1位が発表された瞬間、クラス中がどよめいた。
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