第8話

「ここですか......」 


 この間きた森の奥へクリュエもつれてきた。


「ああ、ほらそこに、この間倒したロックピッグがいる」


「ほんとだ...... モンスターって加工した売り物しかみたことないです。 これがロックピッグか、本でみたのと同じだ」


 興味深そうにモンスターをクリュエがみている。



 町でクリュエに国造りと俺の能力についてはなしていた。


取引トレードそんな魔法は聞いたことがないです...... でも昔話でそんな能力のある人が何人かいましたね」


 クリュエは不思議そうにいった。


「それを使って森の中に町を作ろうとしてたんだけど、モンスターに襲われたの」


 アンナはそういう。


「そこで魔法で対処しようと魔法の情報を探しに行ったんだ」


「それで図書館で本を探されてたんですね」


 納得したようにクリュエはうなづいている。


「やっぱり攻撃魔法か」


「防御魔法じゃない」


 そうメモった魔法についてアンナと話す。


「クリュエはどう思う?」


「えっ、そうですね。 この魔法とこの魔法を使えばどうでしょう?」


「なるほど、じゃあスクロールを交換して使ってみるか?」


「あっ! あのそれ私が覚えてもいいですか......」


「えっ? クリュエが」


「はい...... だめですか?」


「いや、クリュエが魔法を使ってくれるなら、俺は取引トレードに全力で当たれるからいいけど、使うとすごくつかれるぞ」


「ええ、知ってます。 魔力操作でもかなりつかれますから、でもやってみたいんです!」


(魔法使いになりたいんだもんな......)


 真剣に頼むクリュエをみて、アンナと顔をあわせるとうなづいている。


「わかった! クリュエ頼めるか」


「はい!!」


 

(それでクリュエはいくつかの魔法をスクロールで覚えたんたが...... さて、どうする)

 

 俺はクリュエをみる。 クリュエは目をつぶり、両手を大地に向けた。


「まずは......」


 ーー大地よ、その身を固め、鋭く隆起させよーー 


「アースニードル」

 

 地面から土がおおきな円錐形に盛り上がった。


 ーー汝、我が思いに答え、その身を変じよーー


「ソートモールディング」


 盛り上った土が壁のように変化した。


 ーーそのさがを我が力にて変じよーー


「エクスチェンジ」


 土の壁が石に変化して、一面だけ石壁ができた。


「土壁が石に変化した! すごいぞクリュエ!!」 


「でも大丈夫? そんなに魔法を使って」


「はい! まだまだ大丈夫です! まだ魔法は使えます!」


 心配するアンナにクリュエはそう笑顔でこたえる。


「多分魔法をつくるために、魔力操作をしていたから、かなり魔力があるんだろう」


「そうなんだ...... クリュエに私も教わろうかな」


「わ、私が知ってることなら」


「それじゃ、クリュエとアンナはモンスターがこないか見張っててくれ。 俺は取引トレードで石の家をつくってみる」


 柱に潰されているストーンピッグを調べてみる。


「柱が200とストーンピッグ1000で魔力値1200か...... あとは瓦礫をもってきて...... と」

 

取引トレード!」


 柱とモンスターがきえ、一軒の白い石の家が現れた。


「ふぅ、できた。 結構つかれたな」


「す、すごい!! ホントに家ができた! これ魔力を含む白皓石ですね!」

 

 クリュエが驚いている。


「少しなかをみましょう。 壁は厚そう。 ん、でも扉が重い」 


 アンナが石の玄関の扉をあける。 俺たちは中をのぞいた。 家は四部屋で大きいリビング、残り三部屋という感じだった。


「まあ、下が石で固いし冷たいな。 何かひかないと、でも何とかすむことはできそうだ」

 

「すごい、すごい! お家だ!」


 クリュエが隅々まで嬉しそうにみてまわっている。


「クリュエまだ魔法つかえる? 俺たちも手伝うから壁を作ろう」


「は、はい! まだ大丈夫です!」


 俺たちは外に出てクリュエが壁を作っている。 そのそばでアンナが瓦礫を運び、俺も石壁を取引トレードする。



「よし、一応家を囲むことできた。 休憩しよう」   


 地面に布のシートをしいて、もってきたサンドイッチを三人で食べる。


「森の入り口だけ壁がないけど、これからどうするの? 」  


「森の入り口からモンスターは入ってきづらい。 だから、この家を拠点に後ろの壁を広げていく」  


「なるほど、それで一時的に後ろを閉じたんですね」 


 クリュエは美味しそうにハムのサンドイッチを頬張りながらそういった。


「ああ、森の奥からモンスターはやってくるはず、どうしても睡眠や物資の輸送中、壊されかねないからな」


「じゃあ、あとは壁を厚くするか、広げるのね」


「そう! そうやって俺たちの国の領土を拡げていくのだ!」 


「そうね! やりましょう!」   


「おー!!」   


 こうして家一軒から、俺たち国づくりがはじまった。

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