転生者の償い 〜転生した僕は罪を償うために人々の為に生きる〜
るあん
第一章 転生
第1話 犯罪者は転生する
僕は犯罪者です。
今、警察とハイレベルおにごっこをしている。
なぜ僕が警察と鬼ごっこをしているかというと学校の友達に言われコンビニからお菓子と大人の本を盗もうとしたところをたまたま来た警察に見られ今の状況に陥った。
一応僕は運動が少し得意だった為走りと体力には自信があった。
おかげで警察はそこまで追いついてきてはいなかった。
(ただの高校生に追いつけない警察なんて意味あるのか)
と少し煽る様なことを心の中で思っていると横からおばちゃんが出てきてそのままぶつかってしまった。
倒れたおばちゃんはなぜか起き上がらなかった。
死んだのか?
まさかただぶつかっただけだし。
後ろを振り返ると警察がまだ追っかけてきていた。
さすがにしつこい。
僕は友達に…。
友達に言われて盗んだだけなのに。
そんなことを思っていても警察はまだ追いかけてくる。
もうわかったから…追いかけないでくれ。
ちゃんとお金を払うから。
捕まえないで。
お母さんに怒られる。
学校でまた馬鹿にされる。
そんなのもう嫌だ。
「止まれ!! 止まるんだ!!」という警察の声が聞こえてきたが馬鹿なのかと思った。
止まったらどうせ捕まえてくるくせに。
何が止まれだ。
そっちが止まればいいのに。
鈍い音が鳴った次の瞬間僕は横になっていた。
どうして横になっているんだ。
早く逃げないと警察が来ちゃうのに。
でもなんだか顔が体が暖かい。
夜なのに不思議な感じだ。
「…。酷い有様だ」
「間に合わなかったか。救急車を呼んでくれ」
警察が来た!?
もう追いつかれたのか。
ハハ…。もう僕の人生終わりか。
言うことなんて聞くんじゃなかったな。
あれ…なんだか眠たくなってきた。
走りすぎたからかな。
まぁ、いいや。寝ちゃおう。
◆◆◆
僕が次に目を覚ました時には見たこともない真っ白な空間にいた。
「ここは…」
そんなことを呟くと突如目の前にシルエットしか見えない謎の人が現れた。
まだ夢の中にいるのかな?
「貴方は犯罪者です」
そんなことは知っている。
物を盗み人を傷つけた。
僕にピッタリの名かもしれないな。
「そしてその罪をこれから償う為に貴方は死んだのです」
死んだ...?
僕は死んだのか。
いつ...。
「それは本当なんですか…」
「はい。貴方は車に轢かれ見るも無惨な姿に変わり果てました。まだ未来ある高校生だというのに」
「でもそうなったのは追いかけられてたからで…!」
「貴方がぶつかった老人は意識不明の重体になってしまっていますよ」
嘘だ。
ただぶつかっただけなのに。
それに周りも見ず出てきたおばちゃんが悪いんじゃないか。
「言い忘れていましたが私は神です。貴方が今までしてきた事すべてを知っているのですよ。例えば貴方がいじめられているということも」
そうだ。
僕はいじめられていた。
それでもいつかは終わると信じて耐え続けた。
「そんな彼らを友達と思い続ける心。そして夫を失った母親を心配するその優しさ。それを持っていたのに貴方はしてしまった。これを見てください」
すると目の前には謎の画面が現れそこには治療室で横になっている僕とその外で泣いているお母さんの姿があった。
「お母さんは貴方を愛していた。それ故に心配をかけたくない貴方はすべての苦悩を一人で背負った。そうなのでしょう」
お母さんは昔から何かと僕のことを気にしてくれていた。
だから僕は心配なんてかけたくなかったんだ。
いじめのことも僕が耐えていればお母さんは余計な心配をしなくてよくなるって。
「お母さん、会いたいよ」
僕はその場で泣き崩れた。
「貴方は神なんでしょ...だったら僕を蘇らせてよ…」
「それは無理です」
僕の要求はすぐに断られてしまった。
…今になって後悔するなんて本当に馬鹿だ。
「ですが貴方にはもう一度チャンスを与えましょう」
「チャンス…?」
「はい。魔法や剣が存在するそんな危険な世界で罪を償うのです」
そんなとこで一体どうやって罪を償えばいいんだ。
「今どうやって償えばいいんだって思いましたね」
「!?」
「わかります神ですから。貴方は新たな仲間と出会いそして人々を救うのです。それが償う方法です」
「そ、そんなことで…」
「これは簡単なことではありません。きっと死を感じることもあるはずです。ですがそれは貴方への試練なのです」
こんな僕にもう一度チャンスが…。
「貴方はこれからマリアとオリックという方の子供に転生してもらいます」
転生…。
アニメとかでよく見るやつだ。
そんなことが実際にあるんだ。
すると僕の周りは眩しい光で包まれ始めた。
「貴方はきっとやり遂げられる。貴方が本当の貴方になれるように」
次に目を開くと綺麗で豪華な家の中でなぜか椅子に座っていた。
目の前には豪盛な食事が並んでいた。
本当に転生したのか。
それと今、僕の目の前にいるのがマリアさんとオリックさんか。
「レイル…!! 15の誕生日おめでとうー!!」
「レイル、本当に立派になったな」
僕の名前はレイルなのか。
それに15歳になっている。
ここであることに気づいたのだが僕はこの二人をなんと呼べばいいのだろうか。
名前で呼べばいいのだろうか。
それとも無難に母さんと父さんと呼ぶべきだろうか。
ここは一か八か、賭けに出るしかない。
「母さん、父さん。ありがとう!」
「……」
やっぱり呼び方が間違っていたのか...?
「全く…いい子に育ったわね! レイルー!!」
「ちょっ母さん!」
母さんはいきなり僕のところに来て抱きしめてきた。
でもどうやら呼び方は合っていたようで安心した。
「そういや12になったしレイルも学園に入る頃だな」
学園…。
もうそこには嫌な思い出しかない。
すべての元凶と言ってもいいくらいだ。
「なんだレイル。学園は嫌か?」
「え、いや…」
「大丈夫だ。父さんはある程度地位があるから名前を出せばどうにでもなるぞ!」
「ちょっと貴方。変なことレイルに教え込まないでよ!」
「冗談だ!」
やっぱこんなとこでくじけてたらダメだよな。
神さまに言われたことをしっかりやらないと。
「僕、行くよ! 学園に」
「おー! ほんとか。なら入学試験まで頑張らないとな」
「試験っていつ…」
「試験は確か来週だな。一応応募してあるから出来るだけ頑張れよ!」
ら、来週…!?
試験勉強を1周間で済ませるなんて無謀すぎる。
前世ではある程度学力はあったけどここは言わいる異世界。
すべての常識が日本とは違う。
そんなとこで1周間後にテスト…。
でもどうにかしてやるしかないんだよな。
人々を救う為の一歩は学園に入学すること。
頑張るしかない。
罪を償う為に。
お母さん…母さんの為に。
こうして僕は学園に入学するためにまずは試験に向けて勉強を始めるのだった。
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