第3話 2人の異なる戦法
美冬の気迫は確かに強く伝わってきたが、私はその力強さを恐れることなく歩兵を前進させる7六歩と指した。斜めであれば自由自在に移動できる角の道筋を開けたのだった。
対する美冬は……斜めに動くことが出来ないものの縦と横には自由自在に移動できる飛車の道筋を開けるため、8四歩と返してきた。飛車と角は、大駒と呼ばれていて対局者たちはまずこの2枚の道筋を開けていく手から指すことを実行していく。その指し方こそが、定跡と呼ばれている通常の指し方だった。プロの棋士たちも、普通はこのような手から指すことがほとんどだ。
私は、今回の対局に関する指し方を既に決めていた。それは、飛車を真横に移動させて前方への道筋を変えるという振り飛車の戦法だった。
一方、美冬の方は…………飛車をそのまま前方に進めて攻撃するという居飛車の戦法だった。
つまり、攻撃の方法については、私と美冬では完全に異なっていたということなのだ。
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