母と娘の再生録〜私たちは、奪われた時間を取り戻す〜

都築七美

プロローグ

病室に響く心電図の音。


あれほどに苦しめられていた痛みは、もはや感じない。

体が自分のものではないかのように動かなくて、襲いくるのは激しい眠気にも似た感覚。


「……さん、お母さん……!

やだ、いやだよ……やっと会えたばっかりなのに……!」


そんな私の手を握るのは―――最愛の存在。

私の娘。

何からも守り抜いて、ずっと一緒だと誓った


私はもう、泣き叫ぶ娘のことを抱きしめてあげることもできない。


「ごめんなさい……ごめんなさい……私が全部悪かったの……だから、死なないで……!」


―――私たちは、どうしてこうなってしまったのだろう?


私がもっと強ければ……どんなに後悔したって、失った時間は取り返せない。


……ごめんね、彩……。


閉じた瞼の上、後悔は一筋の涙となって溢れていった。


「……置いていかないで……お母さん……」


返事の代わりに、心停止を告げる無慈悲な音が鳴り響いた。

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