正反対な少女と僕 前編
西暦 2025 夏
僕は2階のベランダに隣接する木でできたちょっとした広場で氷の入ったお茶を飲みながら、空をのんびりと眺める。この広場は普通の人では作れないが、お父さんが男爵だから作れている。
今日の気温は30度になると、テレビのアナウンサーが言っていた。
普通の人からしたら暑いだろう。だけどここは森に囲まれているため、26度と少し肌寒く感じるほど涼しい。ああ、燃えている音がす....
「パチパチ」
森が?火が燃える音がする。でも匂いはしない。山火事ではないはずだが...
僕が辺りを見回すと音の正体が分かった。
「ファイアボール」
白髪の少女と黒髪の男性が何やらキャッキャと遊んでいた。
どうやら、妹の琉奈は家の前で父の圭人と初級魔法の練習していたらしい。
火属性の初級魔法であるファイアボールは普通は直径10cmほどの小さい火球だ。だが...
「琉奈っ、すごい上達したじゃないか!」
「でしょ!でしょ〜〜!!」
琉奈の出したファイアボールは通常の一回り大きかった。
まあ、そうにきまっているだろう...琉奈は小6にして魔術、頭脳ともに、偏差値65を達している。もう魔術に関しては平均以上だと噂されているらしい。
しかも、琉奈は3つの属性を使用できる。基本の火属性、風属性と、時間を操る時属性というものを持っている。この家系は全員、時間を止める魔法が使えるらしい。おまけにあと顔も良いらしい。
対して、兄の僕は小6で琉奈より歳上であるにも関わらず、魔術に関しては偏差値35という最悪な結果だ。そうそう、僕が生まれたのは4月で、琉奈は2月で、同じ年だ。だから学年は変わらない。
それに追い打ちをかけるかのように、勉強すら平均に達していない。男爵の殆どはどちらかが偏差値60はあるため、お父さんに大人になって、貴族の位を受け取った瞬間に...目に見える結果だ。
あとるなが使える属性は水・そして、日属性だ。
火属性はかなり強い属性だが、使うと魔力切れを起こすので、僕は不可能だ。
「お兄ちゃん、魔法の強さ対決しよ〜」
琉奈が広場の床の穴からかわいらしい顔を出してくる。
でも、威力が高すぎてロングヘアーの髪がボサボサヘアーへ様変わりしてしまった。
ここは一様地面から4mあり、防犯対策にしているのだが、琉奈が家に入ってまたここに来るのがだるいとのコメントが来たので、お父さんが穴を開けてくれたのだ。
「ここ...一様、2階だぞ」
「え〜〜?意外と簡単だよ?足に魔力を集めればいいもん」
「何だそのかるそうに言うのは...普通に僕は無理だぞ?」
「いやいや!!お兄ちゃんならできるでしょ!強いもん!」
「いや、絶対に無理なことだと断言できますので無理です!」
僕は琉奈の魔力の強さとそもそもの身体能力に若干怖気付く。
「で、何対決する?」
るなはもうやる確ということにしてしまっている。もう無理だわ。
一度グラスに入った水を飲む。
「.....っ...ゲホッ...ゴホッ....」
「お兄ちゃん大丈夫?」
るなが背中を叩いてくれた。なんか変なタイミングでむせた。そして、いいなおす。
「....じゃあ魔法勝負はどうだ?」
話を戻した。簡単に言うと、水属性はゆういつ中級魔法までできて、弱い僕が平均値にかなり近づけている救世主の魔法だ。
るなは広場を出て、お父さんのもとに向かった。
勢いよく窓を開けて声高く言う。
「父さん! ここに立って、実験台になって〜!」
父さんは気楽に家のリビングで紅茶を飲んでいたが、一気に口から吹き出す。
「ばかいえっ悠ならまだしも、琉奈の渾身の一撃なんて.....」
......僕はディスられたことをあえて無視した....まだしも?クソが〜〜。
まあ、琉奈の威力がハンパじゃないから僕の魔法が弱く感じるからだろう...
「お願い、お父さん」
琉奈はキュルンとした目でお父さんにおだねりする...
こいつに見つめられるとか絶望的に拷問レベルだろ...
「はいはい...広場でやるぞ...」
そして、るなたちはこっちに来た。
「いいぞ~ばっちこい!」
そして父さんは僕の前に立って手を突き出す。そして父さんは目の前に中級クラスの二重結界を張った。
「父さん...中級結界2枚でいいの?」
お父さんなら、中級結界以上の結界を晴れたはずだが...
僕は普通に頑張って上級結界でも貫通する事ができるレベルの大技を出そうと考えている。
「じゃあ...結界防御力強化しとこうかな...」
父さんは自身の結界に防御力強化Ⅰのバフを入れた。
「あ〜...20%の硬度強化か〜...」
「そろそろ来てくれ、このバフが切れてしまう...」
お父さんは強く目をつぶり、その後、目を大きく開いた。
「行くよ...」
父さんは指でぐっとサインをした。
まず、使うのはバフだ。
「フィジカルアップ5%」
これで5%だが、全ステータスが少し上昇する。
「水よ、辺りを青く染め、己の場とせよ、ウォータエリア」
僕は周りの水を操り、辺りを水のフィールドへと変える。
お父さんがるなに向く。なんや?
「琉奈〜俺死んだらこれから頼むぞ...」
「お兄ちゃん!がんばれ〜」
お父さんは残念そうにしょんぼりしていた。完全にスルーされているんだから。
「水よ、我が敵を射抜く槍となれ、ウォータランス」
ウォータランスは相手に対し、水の弾丸を穿つ。魔力をコントロールして、弾速や威力など変えることができる。
そしてこのウォータランスは相手に対し、水の槍を穿つ。ウォータバレットという水属性の初級魔法より威力は高いが、構築速度や発射速度などはウォータバレットに劣るが、魔力を調節して、弾速や威力など変えることができるため、破壊力がかなり高い。
だから、威力は水槍 > 水球...使いやすさは水槍 < 水球だろう。
「僕はこれでも魔力操作が得意なんだ、だから使いやすさよりも威力を選ぶ」
そして直径約1m位の槍が父さんの守っていた結界にぶち当たり、衝撃波が来る。
その衝撃波は砂ぼこりを起こした。
そして僕はこれでかなりの魔力を使用したため、息切れをする。
「セーフだ〜」
すると僕のイメージでは破壊したはずの結界が残っていた。
だが破壊力がかなり高かったのか1つ目の結界はひび割れて消滅する。
「結界は何重に貼ることができるからな...」
父さんは2枚の結界を貼っていたのか...
「かなりの破壊力だな...」
「だって最高威力だよ...」
父さんはそのあと一度お茶を飲みに家の中に入っていった。
「通知表ってどれ位なの?」
琉奈は学校の通知表をきいてきた。
「オール3のうち数個くらい2だよ...」
僕はかなり僕なりに努力をしているが、なかなか強くなれない。
でも琉奈は完全にオール5のため、凄く優秀だから、大人レベルの魔法も使える。
「お前が羨ましいよ...」
僕は小声でそういった。
父さんは昔はヴァンパイアハンターの最高峰ランクだったらしく、ギルドでも一番強いときはSだったらしい。
きっと特級結界くらいは普通に張れただろう。
「中級結界」
父さんは再び手のひらに魔力を込めて、中級結界を出す。
「時間退化Ⅱ」
るなは、時間退化Ⅱという時魔法を使用する。篠原家がゆういつ誇ることができる魔法だ。
るなは、ものすごい量の水属性の魔力を集める。
魔力量はだいたい上級魔法に匹敵するだろう。
「....っ...三重・上級結界....」
とうとう上級結界を発動させてくる。きっと父さんでも強いと感じる魔法なのだろう。
そして....魔力の上がり方が頂点に達したとき。
「ダークネス・エンド」
るなが闇の光線を放つ。あれに触れれば体は跡形もなく消滅するレベルだ。
この魔法は高校レベルの魔法学校の中でも上位の人しかできないレベルの魔法だ。つまり、小6で高校卒業レベルの魔法を使っているということだ。だが...
「素晴らしいな!」
父さんは上級結界を貼って上級の闇魔法すらも吹き飛ばそうとする。
広場の床板が吹き飛びそうになるほどの衝撃が自分に来る。
「うわっ....っ...」
足を強く踏ん張ることで、自分は無傷だった。二人は?
「おっ結界が2枚削れてる...」
「お兄ちゃん!どう!いっぱいいっぱい練習したんだよ!!!」
琉奈は疲れたそびれも出さず、ナデナデを要求してきた。
それはきっと僕のためを思ってそういうことを言っているのだろう。普通は男なんかに触られたくないお年頃だろうに...
だから、僕はるなのことごめんとも思うし、僕はずっと強くなれないという悲しさに胸が締め付けられた。
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