ピンキー×シークレット
すもも
初めは
モノローグーきっかける
あるところに、一人の殺し屋がおりました。
殺し屋はスケルキラーと呼ばれ、裏では非道な人間を殺すヒーローとまで吟われました。
逆に、殺し屋を嫌うものは彼の白い髪は呪われているとか赤い目は血に染められたなどと言っていました。
殺し屋は沢山の人を殺し、あるところでは生きる伝説とまで言われるようになりました。
そんな殺し屋も人間なので恋をしました。
殺し屋は恋をした女性と結婚し、幸せに暮らしました。
「 ん こと、 もうな
よけ と」
強いものも弱味を見せれば最後、弱いものは淘汰される。
恨むものはニヒルに笑うのでしょうね。
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俺は政府直属の殺し屋、名を白銀継途という。
俺の仕事は、政府に依頼された人間を殺すだけ。手段はなんでもいい。ただ殺すだけ
給料も弾むし、後処理も政府が何とかしてくれる。全部が合法、強くさえあれば悪い仕事じゃない。
言われたことをするだけの仕事だった。
しかし俺の妻はこの仕事が嫌いだった。
家に帰れば嫌そうにお帰りと言ってくる。
昼に仕事に行こうとすれば、
「また行くの?」と悲しそうな顔でいわれる
おれは妻の顔に惚れたのに、そんな顔でいられては困るし嫌だ。だから、殺し屋を辞めようと思う。
物心がついた頃からしていた仕事だった。
辞めることに少しの抵抗はあったが、他でもない妻の悪態は俺の心を変えるには簡単だった。
俺の妻こと、華ちゃんとの穏やかな夕飯時。
俺はふとそんなことを考えていた。
「華ちゃん、おれ仕事辞めようと思うんだよね」
「…」
俺の一言で穏やかな夕飯も凍りついてしまった。
おそるおそる華ちゃんを見ると、
華ちゃんは少し目を見開いてこちらを下からすっと覗いていた。
「えっと…それで…」
「…」
なにも言葉をはっさない彼女にどこか圧さえ感じていた。
何度もやめてといわれたのに、何度も行かないでと言ったのに
拒絶や嫌悪を向けられるような気がして、胸焼けしたような感覚になる。
遅すぎると、今更なんだと思われるだろうか、許さないと言われるだろうか。
全部俺の戯れ言だ。
「今更かもしれないけど、後悔してるんだ。
殺した人のことも家族のことも何も考えなかった俺の"全部"に」
「…ふぅ」
華ちゃんは軽く息を吐き、目線を落とした。
食べていた箸をおいて、俺に目線を合わせるように立った。
華ちゃんは、綺麗な薄桃の髪を揺らしておれを抱き締めた。
「私が君の仕事を、好いていないことも分かってたんだよね。
君にとっての居場所だったのに。私がそれを捨てさせることになってしまってごめんなさい。
君のしたこともされたことも私は知ってる。
それでも一緒にいたいし、愛していたい。
結婚した時から、君のことも私のことも背負っていくって覚悟してる
知ってるのに知らないふりする私は君と同じなんだよ。
私達は極悪人っていう意識をもって生きていく運命共同体なんだから、
自分一人が悪いみたいな顔しないでよ
一緒に背負うよ…夫婦なんだもの。」
華ちゃんは優しく俺を抱く力を強めた。
冬だからか、窓を開けていたら冷たい風が薫ってきた。
冷たい風のせいでカーテンが揺れる、
「ありがとう…」
華ちゃんは、"私も白状する"といって俺から離れた。
どうしよう…離婚話だったら…
冷や汗がどっとでた。
そんな俺の心境をつゆ程も知らない華ちゃんは眉をつり上げて怒った顔をした。
「結婚したときからけいくんすっっっごく無理するんだもの!
朝御飯は食べないし、生活バランスは悪いし、服にたっくさん血をつけて帰ってくるんだから、私も流石に怒っちゃうんだから!」
おれの肩を掴んで、さっきの面構えとは裏腹に怒りを顕にする。
「もう、血なんかつけて帰らないよ。泥とかつけちゃうかもだけど…」
俺は逆にそんな妻を見て笑う。
守るために、傷つけないために、頑張るよ
〈その頃〉
ある一室にて、二人の男が会談する。
一人は政府の首相、もう一人は殺し屋だ。
「用は分かっているな?」
「分かってます…スケルキラーを殺せばいいんですよね」
「あぁ…手っ取り早く処分してくれ」
「…」
「私は操作が"面倒な物"も"愚図な物'も、大嫌いなんだ。
どんなことをしてもいい、絶対に仕留めてこい。」
孤独で聡明な彼を思う殺し屋はすっと目を細めて口を結んだ。
「御意」
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