第16話 大打撃

 夏美は年末ジャンボ宝くじに当選し、大金を手にすると顔を整形し、田中みな実みたいな顔を手に入れた。

 夏美は土浦市内にある食品工場で派遣社員として働き、毎日コンビニで買い物をするのが日課だった。年明け、彼女は新しくオープンしたコンビニに行くと、目の前で荷物が強奪される事件に遭遇する。彼女は警察に通報し、そのまま自宅に戻る。


 偶然、夏美は築地の魚市場へ友人と訪れた。神社でちょっとした休憩をしていると、彼女の目の前にコンビニで目撃した荷物強奪犯が立っていた。怖くなりながらも、彼女はその男性に向かって微笑みを浮かべた。


 その夜、夏美はジャックという男性からメールを受け取る。彼は彼女が目撃した荷物強奪犯でした。彼は夏美に文化的な祭りを楽しみに行くことを提案し、「夜の神社で待っていてくれ」と伝える。


 夏美は神社でジャックと出会う。ジャックの正体は佐々蓮だった。彼は『桜の里』を解雇された。蓮は施設を運営している榊田裕二に殺意を覚えた。

 彼は予感を信じて夏美に危険な荷物を託す。彼女はその荷物を開けると、そこにはアクセサリーが入っていました。ジャックは彼女にそれを身に着けるよう勧める。


 夏子が蓮と共に荷物の目的地に向かうと、そこは裕二の自宅だった。彼は夏美に本当の目的を明かした。

「僕は以前は介護士をしていました。きっかけは僕がヤングケアラーだったからです」

 ヤングケアラーとは、病気や障害のある家族・親族の介護などで忙しく、本来受けるべき教育を受けられなかったり、同世代との人間関係を満足に構築出来なかったりする未成年、または未成年時代にそのような状況にあった人たちのこと。兄弟姉妹が障害児な場合はきょうだい児と呼ばれ、ヤングケアラーの中にはきょうだい児でもある人たちもいる。彼らの中でも兄姉が障害児な場合には、自分を産んだ親への憎悪を持つケースもある。基本的に18歳未満で子どもなのに、親が担うような介護責任を引き受け、家族の世話全般(家事や介護、感情面、家計面のサポート)を行っている人を指す。その子どもがケアしている者は、主に障がいや病気のある親や高齢の祖父母、兄弟姉妹などの親族である。そもそもヤングケアラーの親自体に問題や障害があって、そちらの介護や面倒もさせられているケースもある。海外の研究によると、精神疾患の親を持つ子は、親のヤングケアラーをさせられているストレスから健常者の親を持つ子よりも精神疾患になるリスクが2・5倍高い。


 手伝いの域を超える過度なケアが長期間続くと、心身に不調をきたしたり遅刻や欠席が増加するなど学校生活への影響も大きい。進学・就職を断念するなど、子どもの将来を左右してしまう事例もあるとされている。


 蓮の母親は若年性アルツハイマー病だったそうだ。父親は逃げ出してしまい、蓮が1人で介護をしていたらしい。

「だから、ろくに学校も出てないんです」

 蓮の事を思うと夏美は涙が出そうだった。

「なかなか出来ることじゃないわ」


 後日、『桜の里』に労働基準監督署の立ち入り調査が行われた。

 褥瘡の処置や摘便、水銀血圧計での血圧測定など、介護職員が禁止されている医療行為を介護職員が行っている。さらに、利用者の介護をする度に担当したヘルパーが記入するはずのサービス実施記録を、法人幹部が書き込んでいた疑惑も浮上。つまり、水増し請求が行われていたのだ。

 

 夏美は工場でのライン作業でクタクタになり、帰宅すると午後7時のニュースで美優を殺した森田悠子が逮捕されたニュースを知る。ニュースを見ながらほか弁で買ってきたスタミナ弁当を食べた。


 食事を終え、『アザミ』に取り掛かった。いよいよ、ラストスパートだ。

 主人公の夏子は、榊原クリニックで長年働いていた。しかし、彼女は患者に対する不適切な施術や虐待、そして隠蔽体制に不満を抱く。彼女はクリニックの裏側で続く不正を知ることになり、激しい怒りが芽生える。


 夏子は復讐を誓い、計画を練る。彼女は過去の患者やスタッフに接触し、榊原クリニックの内情を知るための情報を集める。彼女は復讐のために必要な物資や弱点を見つけ出し、周到に準備を進めていく。


 復讐計画の日が近づき、夏子はクリニックに潜入する。彼女は隠されていた不正の証拠を集めながら、榊原医師や関与しているスタッフを次々と追い詰めていく。夏子の行動によって、クリニックの裏側が明るみに出され、世間の注目を集める。


 一方で、夏子は復讐の行為に対して内面的な葛藤を抱えます。彼女は、自分が榊原クリニックで働いたことやその一件によって、患者やスタッフに迷惑や苦痛を与えたことに罪悪感を抱く。しかし、彼女は正義のために戦うという信念を持ち続ける。


 夏子の復讐計画はクライマックスに達し、彼女は榊原医師と対決します。彼女は医者としての信頼を裏切り、患者たちに与えた苦痛への怒りをぶつける。最終的に、夏子はクリニックの改革を迫り、被害者たちの救済を目指す。


 夏子の復讐は成功し、榊原クリニックは大きく変革されます。夏子はその功績を評価され、新たな医療の道を歩むことができるようになる。彼女は過去の過ちから学び、患者の痛みを理解し救いたいという使命感を持って医療に取り組んでいく。


 院長で榊原雄一は夏子に土下座する。

「僕は今まで自分が悪いことをしていたことすら気づかなかった、すまんよ……夏子」

 夏子は雄一をぶっ飛ばしてやろうかと思ったが思いとどまり、「頭を上げて。ドラマじゃ簡単に悪人が立ち直るけど、現実はそう甘くないわよ?しっかり反省することね」

 後日……裕二は解雇された耳鼻科医の神崎拓郎かんざきたくろうに夜の街でナイフで刺し殺される。

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