Re:恋愛魔法学院~乙女ゲーの世界で無双した俺は、現実世界でもダンジョンを攻略する。配信なんて絶対にしないけど。
岡村豊蔵『恋愛魔法学院』2巻10月30日
プロローグ
黒い
このレベルの魔物が、ダンジョンの中層部に出現する筈がないから。
「みんな、早く逃げて!」
ピンクベージュのショートボブと、琥珀色の瞳。客観的に見て、大抵の奴が振り向くような美少女だ。
だけど彼女は明らかに劣性で。見る間にボロボロになっていく。ケルベロスは下層の魔物で。明らかにレベルが違うからな。
探索者は危険を承知でダンジョンに挑むんだから、全て自己責任だ。たとえイレギュラーに殺されても、自分が弱かったと諦めるしかない。
だけどこんな状況を、俺が放置する訳がないだろう。
問題は、頭上に飛んでいる撮影用ドローンだ。つまり彼女は
俺はちょっと訳ありで。目立ちたくないんだよ。
まあ、こんなときは――
『
俺は一気に加速すると、彼女を庇うようにケルベルスの前に立ち塞がる。
彼女にもケルベロスにも、俺の姿は見えていない。
「なあ。俺が手出しして、構わないか?」
獲物を横取りするのは、マナー違反だからな。一応、断りを入れておく。
「え? まだ逃げていない人がいるの? 私のことは放っておいて、早く逃げて!」
こんな状況でも自分よりも他人を優先するとか。どれだけお人好しなんだよ。まあ、こういう奴は嫌いじゃない。
俺は『
剣を
生命活動を停止した魔物の身体が、光のエフェクトと共に消滅して、魔石だけが残る。これは
「え……何が起きたの?」
彼女は唖然として、周りを見回す。だけど俺の姿は見えていない。
「だ、誰かいるんですよね?」
『
「嘘……こんな凄い回復魔法なんて……」
「これで地上まで戻れるよな。気をつけて帰れよ」
「え……ちょっと、待って! まだお礼も――」
彼女が言い終わる前に立ち去る。ダンジョン配信をしている奴とこれ以上関わると、面倒なことになりそうだからな。
だけど俺は自分が
まさか声だけで俺を特定するなんて、思わなかったからな。
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