第8話 タイミングが合わなかった人
ある時、電気配線の事で悩んでいた。
たまたま、そう言うのが得意と言う人を見つけて、メールで相談してみた。
私のメールにも親切丁寧に答えてくださるが
やはり、メールだと説明できないし、
相手の方もわからないみたい。
そこで、会う事になった。
喫茶店で待ち合わせ。
仕事終わりの作業着姿。
頭は薄くて、背が低くて、貧弱な感じ。
ただ、話してみると、実に穏やか。
私の素人あんぽんたんちんの説明も
一旦は聞いてくれる。
そしてからーの、
「あのね、話でわからないところがあるよ。
ここなんだけどね。」
こうして、そこから出会いは始まった。
この方も奥さんを亡くされてて、娘さんは結婚されて近くには住んでない。
大きな家に一人暮らしだそうだ。
この人は本当にオープンな人だった。
会って、直ぐに自宅を見せてくれたり、
そこで、ご飯を作ったりしていた。
疲れて、座椅子でグースカピーと寝てしまうと
毛布を掛けてくれたり。
癒しの人だった。
じゃあ、いいじゃない?
そう、何だけど、何しろ結婚したい人だった。
そのうち、会うたびに、職場に連れて行かれて紹介されたり、娘さんにも会ってほしいと言われて、、。
いや、まだ、一ヶ月なんだけど。
それに、私だっていろんな事情もあるし。
なんだか、急がされてるのが怖くなり
自分の気持ちも落ち着かせたくなり
一ヶ月くらい、連絡しなかった。
ある日、何故だか?
ふと、連絡しようと思い立った。
そしたら、体調崩して寝込んでると言う。
結局は虫歯が原因だった。
あまりの元気の無さに虫歯の治療で良くなったけど、何か気分転換した方がいいんじゃなかろうかと。
プラネタリウムへ誘う。
これなら、静かだし、星は彼も好きだし。
私も観たかった。
さあ、始まり。
と共に睡魔が襲う。寝てはならぬ!と言い聞かせてみるが、勝てずにぐーぐーと寝てしまった。
起こされてみたら、終わってた。
その時に
「実はね、今、いい人がいるんだ。
今度、会いに行くんだよ。会って振られるかはわからないけどね。
やっぱり、今回みたいな病気をするとね、
ひとりは怖いんだね。」
そうだよね。
あんな大きな家で一人暮らしは寂しいよね。
私は、やっぱり、事情もあるし結婚は考えられない。
「うん。会ってきたらどうです。
もともと、田舎で暮らしたいと言ってたし。」
こうして、この人は遠く住む人に会いに行き、
向こうも再婚したい人だったのと、
田舎で暮らしたいのも叶うと言う事で
ふたりは結ばれた。
あーあ、こん時は後悔したなぁ。
もう、これ以上、気が合う人は現れないんじゃないかなと思うと悲しかった。
でも、タイミングってあると思う。
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